国際忍者研究センター

三重大学では、伊賀地域の発展のために、
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(学生通信)現代の陽忍②(院生三橋源一)

2018年12月06日

さて前回に続いてテーマは同じです。「忍者を現代に置き換えてみると?」という仮定で前回は「ビルメンマンが恐ろしい程最適である」と一部提示しましたが、今回は逆にそれを防ぐ方、即ち警備について。

万川集海巻第七に当時の警備方法が記載されています。ここで注目されるのが篝火や提灯の記載。篝火を中心にその内側や外側を騎馬や徒歩で巡回、また巡回する側の提灯には紋を入れておく、あるいは火を持った巡回班の後方に火を持たない複数名を配置して巡回するなど、多様な方法が記載されています。

他の忍術書でも状況に応じてどのような松明を作成、持参し、携行するか、という点に多くのページが割かれています。面白いのは敵の陣を偵察する際に馬に松明を括りつけて向かわせる。丁度敵陣の中につくころに括りつけた松明がポトリと落ちて、敵陣の状況が分かるように絶妙に括りつけるのが大事である、と書かれています。

闇夜に紛れて侵入、警備する、双方にとって松明の存在は欠かせなかったようです。

さて、現在ではその点は全く改善されています。御丁寧に人が通るとセンサーで煌々と証明が付くほど。機械警備など現代はその他の点でも多くの改善がなされていますが、問題点もあります。今度は逆に、昔にあって現代にないものによって警備が危機にさらされているのです。それは一体何か.…。

答えは「人」つまり「人手不足」。特にこれからの東京オリンピックなどに向けてのテロ対策やその他警備などで今から業界は頭を悩ませています。

方や先の書籍には門番は2時間交代、陣中はもちろん外側にまで相当数の人員を配置する、と記載され、8時間3交代の24時間警備の人員がいないと嘆いている我々にはうらやましい限りの豊富な人材。…

ともあれ今も昔も警備に悩みは尽きませんが、どちらも警備が必要とされない状況が望ましいのは言うまでもないようです。