国際忍者研究センター

三重大学では、伊賀地域の発展のために、
忍者の歴史や文化を研究し、その成果を発信しています。

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(学生通信)忍者・忍術学のススメ 〜研究計画編〜(院生田中(仮))

2018年12月07日

こんにちは、修士1年の田中(仮)です。前回は願書提出にあたってのポイントをご紹介しましたが、中でもじっくり取り組まなければならないのが「志望動機・研究計画書」です。自分は大学時代法学部で卒論提出義務がなかったので、研究計画を立てたこともなく、どんなものを書いて良いのか非常に悩んでいたのを覚えています。結局願書提出時から研究テーマも変わりましたし、提出した研究計画書がお世辞にも良い出来とは全く思ってはいないのでお恥ずかしながらなのですが、どんな風に書いたかをご紹介いたします。

志望理由書・研究計画書については、以下のような題割で記載をいたしました。

 

  • 研究テーマのタイトル
  • 志願の理由
  • これまで興味を持って学んできた分野、テーマ
  • 学びたい分野、テーマ
  • これからの研究目的、内容および研究方法

特に重要なのは②と⑤だと思いますが、以下詳細に記載します。

 

  • タイトル

自分が研究したいテーマを一言でわかるように記載すると良いと思います。そもそも何を研究テーマにするのか。これについては元々大学で忍者について研究していた人もほとんどいないでしょうから、前提知識が少ない中で明確に“問い”を立たせるのはなかなか至難の技かもしれません。実際、自分も大学院での授業を通じて、当初設定していたテーマを研究するためには前段階として別のテーマを明らかにする必要があると気づき、テーマを変更しました。研究計画書作成時点でも内容はあまりぼやっとさせず明確にすることを意識していましたが、今読み返してみると甘かったなと思います。

忍者学はその切り口が大変広範です。例えば「忍具」といっても忍術書に記載される忍具もあれば、フィクションの中で登場する忍具もあり、どっちについて研究するのかを明確せずにただ「忍具の研究」としてもかなりぼやっとしてしまいます。あくまで例ですが「忍者映画における忍具イメージの変遷」などとして「映画」と「忍具」にフォーカスして「映画作品においてどのように忍具が使われ、イメージされるようになったか」を研究テーマにするなど「何をどの切り口で明らかにしたいのか」を意識すると良いと思います!

 

  • 志願の理由

ここはとにかく「なぜ忍者研究をやりたいのか」「なぜ三重大学で行わないとできないのか」を情熱的に書きましょう!忍者学を志す時点で相当熱い想いはお持ちだと思いますので、その想いをキーボードにぶつけてしまってください!

 

  • これまで興味を持って学んできたテーマ、分野

大学で研究してきた学んだことが忍者に活かせそうで、実際に大学院での研究テーマとしてもその経験・観点が活かせるようであれば、その研究内容について書かれるのが良いと思います。もう1人の大学院生の方は、農学部出身ですが農村と忍者の関係について研究をされるようで、同じ忍者学でも自分とは全く分野が違うので、忍者学の幅広さや可能性には驚かされるばかりです。ちなみに自分は、大学で学んだこととは全く関係ないテーマだったので、法律については記載していません。これまで趣味として全国の忍者に会いに言って話を聞き、自分なりの忍者の真実を探るという活動していたので、それを学んだテーマとして書きました。自分なりの忍者に関する活動をされていたら、その体験から学んだことを記載すると良いかと思います。

 

  • 学びたい分野、テーマ

三重大学院に入って研究したいテーマについて記載します。基本は忍者だと思いますが、その中でも特に何について知りたいのかを素直に記載するとよいでしょう。自分は忍者に関する基礎知識と古文書の読解としました。

 

  • これからの研究目的、内容および研究方法

おそらく一番キモとなるのがこの項目です。

研究目的としては、上記①で書いたテーマについて、「なぜそれを研究したいのか」「その研究をすることで社会にどのような影響を与えることができるのか」を意識すると良いと思います。普通は先行研究を挙げてその問題点を指摘しながら自分の研究がいかに有用になるのかを書くものだと思いますが、忍者に関する先行研究は現状ほとんど存在していないに等しい状態です。試しに論文検索してみてもあまりヒットはしません。自分が考える分野についての先行研究(出版されている本など)がないかは一応は調べつつ、まだ未知の内容について研究することを目的として書けるとよいでしょう。研究内容についても同様です。

研究方法については、ある程度「どこでどんな資料をベースにして明らかにしようとしているのか」を書いておかなければなりません。なので選択した研究テーマに関連する書籍や周辺の文献を一通り探してみて、「この辺の資料を読んでいけば何らかの答えが出そうだな」という目星をつけ、それらの資料を挙げて言及しましょう。それをどのようなスケジュール感で読んでいくかも記載し、無理のない研究計画として伝える必要があります。実際には大学院に入ってみて、先生方のご指導を受けてから「こんな風に調べればよいのか!」「こんな資料があるのか!」とわかってきますので、願書提出の段階では今自分ができる範囲で周辺資料を調べて、記載していくのが重要かと思います。どの資料をベースにするのかについては、面接試験でも口頭で聞かれましたので、しっかりと準備しておいてくださいね。

 

と、こんな偉そうに書いてしまっていますが…思うになによりも大事なのは、「なぜ学びたいのか」「本気で研究していきたいのか」と、その先として「忍者研究を通してどんな人生を歩みたいのか」はしっかり考えて、志望動機には本心で思えることを記載した方がよいように思います。入学すると課題も多く、特に働きながら通うなら生活への負荷は確実にかかります。そんな中でも「忍者の真実を探求したい!」と心底思えたら、きっと楽しい研究生活が待っていると思います!そんな状況を想像しながら、楽しく研究計画を立ててみてください!(田中(仮)記)