国際忍者研究センター

三重大学では、伊賀地域の発展のために、
忍者の歴史や文化を研究し、その成果を発信しています。

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(学生通信)遁甲の事(院生三橋源一)

2018年12月19日

大学院ゼミでは万川集海を読み解いていますが、いよいよ終盤。遁甲やそれに関係する天候、各種忍具などが紹介されています。さて内容を読んでいると「陰忍は風雨の夜を以て上策とす。」などの記載が目につきますが、夜討、風雨に紛れるのは目立たない為であることが根底にあるのがわかります。開器にしても音がしない物、忍び装束にしても柿渋が良い、何故なら黒は闇夜では逆に目立つからである、といった箇所も見受けられます。

この目立たないことに関して仕事で東京に行った際、泊まったホテルに「サトコとナダ」といったサウジアラビアと日本の女子大生とのアメリカでの共同生活の様子を綴った漫画があったので面白く読みました。

ヒジャブと呼ばれる衣装は一見忍者装束に非常に近いものがあるように思われます。その漫画の中では異文化の発想の違いが学べて非常に面白かったですが「綺麗な黒髪は綺麗だからこそ隠す」といった記載を見て、八ツとしました。

実は仕事で避難所衛生管理などについて研究を進めていますが『避難所では女性はピンクや派手な格好は控えた方が良い』といった記載が避難所での性犯罪の多さと共に紹介されていたからです。

仮に現代日本であっても非常時の状況、ストレスで日常とは全く違う行動が頻発しがちなことが明らかになりつつあります。

ファッションは個性でもありますが、命あっての物種。全体の状況を把握してファッションを使い分ける、上記ナダや関連国の習慣に、ファッションの中にほんのり忍者的な遁甲術を感じた次第です。