国際忍者研究センター

三重大学では、伊賀地域の発展のために、
忍者の歴史や文化を研究し、その成果を発信しています。

ブログ

 

(大学院教育)三重大学大学院「忍者文化史料論特講」(高尾善希)

2018年07月03日

いま現在進行中の三重大学大学院「忍者文化史料論特講」の内容をご紹介します。このコマでは、忍者学に関係する文献を読む能力をつけることを目的にしています。「忍者文化史料論」といっても、半分は、忍者とは直接関係のない近世の文献をひたすら読む、という内容です。忍者史を研究する場合、ひろく文献を読みこなす能力がなければ、話になりません。

たとえば、検地帳・名寄帳・年貢割付状・宗門人別帳・宗門送り手形・通行手形・城下町の町触・藩邸日記・手習本などです。近世の政治や社会の基本的な構造を理解するとともに、くずし字の読解能力を養います。だいたい、まじめにやれば、どのようなひとでも、3か月ほどで、(きれいなくずし字であれば)8割を解読するまでになるでしょう(実際に到達しています)。

それが済んだ後には、忍者に関する史料の整理を行っています。史料所蔵者のお宅を訪問し、忍者に関する史料を拝見して、史料目録の作成まで、史料整理作業を行いました。アーカイブスの基本的な考え方と、それに基づく調査実践との関係性を学びます。この整理を通じて、藤堂藩における無足人(いわゆる郷士)・伊賀者などを解明します。

「忍者学」といっても、歴史上に実在した忍者を研究する場合、幕藩政治史であったり、村落史であったりしますから、ふつうの歴史学と、何ら変わるところはありません。このコマでは、歴史の全体の中にいかに忍者が位置づくかという問題関心のもとで学習しています。忍術書の講読は、山田雄司先生のコマにお任せしています。(高尾記)