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(教職員紹介)三重大学国際忍者研究センター兼務教員吉丸雄哉(人文学部准教授)
2018年05月15日
三重大学人文学部で日本近世文学を教えている吉丸雄哉です。近世とは江戸時代のことで、簡単にいえば江戸時代の文学を研究しています。私は江戸時代全般を(薄く)広く研究する(今どき珍しい)研究者ですが、専門中の専門は江戸後期の大衆向けの文芸である戯作です。戯作で有名なのは曲亭馬琴『南総里見八犬伝』や十返舎一九『東海道中膝栗毛』でしょう。馬琴や一九に関する論考も書いていますが、私はとくに式亭三馬という戯作者の研究をしていました。『浮世風呂』『浮世床』といった会話体小説で知られる戯作者でした。
忍者研究は2012年に伊賀連携フィールドができてからで、あれからあっと言う間の7年間でした。忍者のことはまだまだわかっていないことが多くて日々勉強です。私は作られた忍者像の研究をしています。われわれが普段イメージしている忍者の姿は実像と違っており、何かから形成されているイメージなのですが、それが何から形成されたのか、その発生と系統を探っています。
完全にフィクションが前提の作品とは違って、事実と虚構のはざかいにあるような資料を読むので忍者研究はたいへんです。研究によく使っている太平記ですら、厳密には軍記物語であってすべてを鵜呑みにはできません。
当初の伊賀連携フィールドが忍者を用いた伊賀の活性化であることもあって、私は多くの人に伊賀に来て欲しいと思っています。直接、伊賀を舞台にしているフィクションを論じたりしているわけではないですが、忍者研究が進んで忍者への関心が高まることが、伊賀への訪問者を増やすと私は信じています。(吉丸記)