国際忍者研究センター

三重大学では、伊賀地域の発展のために、
忍者の歴史や文化を研究し、その成果を発信しています。

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(学生通信)忍者・忍術学のススメ 〜山田先生編〜 (院生田中(仮))

2018年11月01日

こんにちは、修士1年の田中(仮)です。今日はなんと行っても忍者研究の第一人者であられる山田雄司先生の授業の様子をお届けします。

山田先生はもともと怨霊や妖怪の研究をされていて、あるとき学長から「山田くんは幽霊とか妖怪をやっているんだから忍者もできるでしょ?」と言われてから忍者研究を始められたのだそうです。前回ブログの入学式における忍者装束のフリといい、三重大学というのは無茶ブリの文化なのでしょうか…(笑)ともかくそんなきっかけからでも、山田先生をはじめとする三重大学の先生方の研究成果は次第に注目を集めるようになります。5年ほど前から山田先生の講演などはよく聴きに行っていましたので、その時の僕からしたら、山田先生の授業を受けられることなんて本当に夢のようです!

山田先生の授業は、蓬左文庫に所蔵される「用間加条伝目口義」の輪読をしていくゼミ形式の授業です。「用間加条伝目口義」とは、江戸時代の兵学者が伊賀流忍術の先生と甲賀流忍術の先生それぞれからインタビューした内容をまとめたもので、伊賀と甲賀の忍術の差異などもわかるため、大変興味深い内容となっています。毎回を生徒が担当する範囲を翻刻して、意義や解釈を調べて発表し、これに対して山田先生が解説をしてくださる流れです。

忍術書の内容には「これホントかよ…」と思うような、呪術的で摩訶不思議な忍術が書かれたりしています。例えば「犬が交尾している所のその接合した部分を切り出して、陰干しして、煮て、埋めて、線香で焚いて、それを握りしめておけば誰にも見つからない」なんて記述があるのですが、このような記述が出てくるとみんな笑ってしまって授業が進まなくなることがあります(笑)冗談のように思われるかもしれませんが、実はこれ、素質のある人にしか忍術の本当の極意を教えないようにするためのブラフであり、ある種の忍術なのです。今の摩訶不思議な忍者のイメージもこのような“忍術を必要な人にだけ伝える策略“から来ているのだとすると、過去の忍者が残した忍術によって現代人はみんな騙されていることになりますね。もうさすが忍者としか言いようがありません!

犬の性器の術は極端な例ですが、授業では「この記述は状況がわかりづらいから絵に書いて整理してみよう」「この術は、あの忍術書の内容と似ているね」「ここに書いてある道具を実際に作ってみよう」「この術は現代社会でも大事な内容だな」などと、忍術の深い所までとことん追求していくため、大変貴重な勉強機会になっています。この授業では当時の忍術のなんたるかがダイレクトに伝わってくるので、忍者の本質を探りたい方にとっては本当に面白いと思いますよ!ちなみに男性ばかりだからか、犬の性器みたいな話が出てくると変に盛り上がってしまって授業が進まないので、来年は女性の生徒さんに来ていただいてピシっと締めてくださることを祈っています(笑)(田中(仮)記)