国際忍者研究センター

三重大学では、伊賀地域の発展のために、
忍者の歴史や文化を研究し、その成果を発信しています。

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(学生通信)忍者・忍術学のススメ 〜高尾先生編〜(院生田中(仮))

2018年11月15日

 

こんにちは、修士1年の田中(仮)です。今日は国際忍者研究センターに常駐して忍者研究をされている高尾先生の授業の様子をお届けいたします!

高尾先生は元々近世日本史の専門で、都内で東京都公文書館などで勤務していた先生でした。ある時、ご自身で主催されていたワンコイン古文書講座の生徒さんのお家に眠っていた忍者(伊賀者)に関する資料の解読を依頼され、その内容を本にした「忍者の末裔」をKADOKAWAから出版してからというもの、飛ぶ鳥を落とす勢いで忍者に関する研究をゴリゴリと進めていらっしゃる先生なのです。受験前はお会いしたことがなかった先生だったので、入学までの間に一度ご挨拶させていただいたところ、その時は「くずし字、死ぬ気でついてきてください。覚悟してくださいね」とだけ言ってどこかへ行ってしまったので、正直恐怖にも近い感情さえ抱きました(笑)

実際に授業が始まってからはくずし字の特訓の日々が始まりました。毎週、江戸時代の代表的な文書について課題を出され、それを読めるようにしてきて、授業でテストみたいな感じです。通勤の電車の中で暗唱するくらい読みまくりましたね。やはり忍術書や伊賀甲賀に関する資料を読んで研究をするにはどうしても避けて通れないのがくずし字なので、ここは確実に読めるようになっておかねばなりません。なかなか答えを教えてもらえなかったりなどありましたが、なんとか食らいついて段々と簡単な文書は6〜7割の文字が読めるようになってきました。前期は普通1時間半の授業を4時間近くもやってくださるほど熱心に教えてくださっていたので、これも高尾先生のご指導のおかげです!「帰る家がない」って言ってた他の大学院の生徒を3週間くらい家に泊めてくれる(!)ほど、生徒想いのいい先生だなぁと思います。(ちなみに恐怖を覚えたと上述しましたが、いつもニコニコしてて優しいです!)

また「歩く知恵の泉」なんじゃないかって思うほど様々なことを教えてくれます。高尾先生の授業の中で好きなのは、文書の中で例えば官職についての記述が出れば、それについて基礎から解説してくださってどんどん深掘りしてなかなか本筋に戻らなくなることが多いのですが(笑)、この少し「横道に逸れる解説」がものすごく面白いんです。日本史、特に江戸時代のことなら何でも知っているのではないかというくらい勉強になるお話なのです。おかげでいろんな基礎知識がついたと実感しております。

現在は、伊賀に住んでいた実際に忍者として活躍していた方の子孫の家から、伊賀者に関する資料が出てきたということで、これを1文書ずつ翻刻して、検討・解説するというゼミ形式の授業を行っています。まだまだくずし字が完璧に読めないのがもどかしいのですが、文書の記述内容から年代ごとのできごとを整理したり、「この記述があるということは忍者ってこうだったのかな?」とか「この記述からこんなことが言えるね!」とか、いかにも「ザ・歴史研究をしている!」と実感できる授業で本当に楽しいです。土日は図書館に籠もらねばならないほど調べることもたくさんありますが、何よりも忍者に関する生の史料で、しかもどこにも発表されていない史料だったりしますので、この真実の忍者を開拓していく臨場感たるや、たまったもんではありません!しっかりまとめて、いつか国際忍者学会で発表しよう、と直近の目標も設定して忍者学の院生みんなで翻刻や検討を頑張っています。新たな忍者の真実を開拓する悦びを感じたい方は、一緒に授業を受けましょう〜! (田中(仮)記)