国際忍者研究センター

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(学生通信)「BL作品は忍者の夢を見るか?─若様隠密帖編─」(院生N)

2018年12月22日

人文社会科学研究科修士課程1年のNです。

さて、前回から予告していた内田カヲル著のBLマンガ『若様隠密帖』(上巻・下巻2014年、竹書房)を入手したので感想を述べたいと思います(待っていた方、お待たせしました笑)。

簡単なあらすじは、「草」という一般人として町で生活している下忍、太助が、忍者の里の若様と一緒に暮らすことになるが……といったものです。若様が筋肉隆々に描かれているのですが、これは作者のマンガではよくあるようです。また、現代が舞台になっています。

戦闘シーンはないわけではないのですが、BLマンガらしく、太助と若様がいかにも新婚夫婦さながらのイチャイチャしたやり取りが目を引く作品です。性描写もあるのですが、苦手な方は読み飛ばしてもストーリー上問題ありません(作者にとっては不本意かもしれませんが)。念のため書いておきますが、成人指定はされてないのでご安心を(笑)。

僕にとって印象的なシーンは、若様が町にやってくると町の人々がやってきて写真を撮ったり、SNSで情報発信したりする場面でした。現代において忍者の装束を着ている人がいると、思わず目を疑ってしまいますし、写真を撮ったりするのもうなずけます(僕は参加していませんが、以前東京で行われた忍者関係のイベントを思い出しました)。このあたりが今っぽいな、と思いました。ここで、本当の忍者なら目立つ装束なんか着ないで普通の人の恰好をしているのでは?と突っ込んではいけません(笑)。それにしても忍者の衣装って、それだけで忍者と判断できるすごいアイコンだと思うのですが、そう思うのって自分だけでしょうか。

忍者が登場する作品とは言えど、やはりBLマンガ。忍者好きの方よりも、BL作品(と忍者)が好きな方にはおすすめの作品ですね。

ところで僕は、BLマンガにおいて女性はどういった扱いなのか気になったのですが、この漫画では女性は信頼できないといった様子で描いていました。特に、「くの一の口と股座は信用できん」(上巻、P116)という台詞は思わず笑ってしまいました。百合マンガでも、いくつかの作品では男性はいいように描かれていないので、それと似ているなと感じました。もちろん全ての作品において、そのように描かれていないと思いますが。

さて、今回作品を読んでみると、他の作品はどのようなものか気になってしまうのが人情というもの。しかしこれ以上ハマると戻れない気が……ほどほどに調べていきたいな、と思うこの頃です。(院生N記)