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(エッセイ)兵糧丸のいろいろ (吉丸雄哉)
2018年12月25日
大学院の授業ではとうとう『万川集海』を読み終わりました。最終巻は「軍要秘記」で今までとは違って合戦の要訣が書かれています。授業で議論になったのですが、「軍要秘記」に水渇丸と飢渇丸という二つの食品が記してありますが、「軍要秘記」の性質から考えると忍者の非常食という発想自体が間違いで、『老談集』の兵糧丸などもそうですが、陣中食のひとつという位置づけかと思います。三重大学伊賀研究拠点で食品の研究をしている久松眞先生が詳しくて、食べものと名乗るには十分なたんぱく質と炭水化物がなければならず、それがない以上、疲れをとるお菓子という位置づけだとうかがっています。
その久松眞先生は名張のお菓子やさん「モンパクトル」の吉島星日子さんと協力して、「かたやき小焼き」を開発しています。
https://www.yomiuri.co.jp/local/mie/feature/CO031511/20180627-OYTAT50000.html
にいきさつ詳しいです(リンクはいつかは消えてしまうのでしょうね)。
500円とまあまあ値段がしますが、けっこう食いでがあって半分ぐらいで腹いっぱいになります。三重大学生協などで売っているのでお土産にすると喜ばれます。
ネットで「兵糧丸」を検索すると「兵糧丸」をクックパッドで作っていたり、「兵糧丸」のウィキペディアが詳しかったりして、食文化研究は別に深める層があるのに感心します。
最近、遅ればせながら2014年より伊賀市の老舗菓子店紅梅屋さんが「平成の忍者菓子 伊賀流兵糧丸」(540円)を発売しているのを知りました。巻物を模した筒状の入れ物に丸い大粒の兵糧丸が5粒入っています。ごまの風味が強くてこれも美味しいお菓子です。久松先生の話では『老談集』のレシピ通りでは丸くするのが難しいそうですが、黒色で丸い形状であったり、巻物を模した円筒型の入れ物であったりと忍者イメージが十分に活かされていて、商売上手だと感じます。伊賀市内の本店のほか、名阪国道のドライブインでも買えるそうです。私としては紅梅屋本店に行って、となりの菅原神社にお参りして欲しいです。ここは芭蕉が最初の句集である『貝おほひ』が菅公(かんこう)770年忌を期して奉納された神社として知られています。『貝おほひ』は翌寛文13年に刊行され、芭蕉の名を世に知らしめる端緒となりました。学問の進展、俳句の上達のためお参りください。