国際忍者研究センター

三重大学では、伊賀地域の発展のために、
忍者の歴史や文化を研究し、その成果を発信しています。

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(学生通信)忍術を令和で活かす、忍者プログラマーマサ、参上。(院生 石井将文)

2019年07月08日

 こてこての理系忍者が、会社で忍術を役立てている話を書かせていただきました。

*自己紹介

 はじめてこのブログに寄稿いたします。院生第一期生の「忍者プログラマーマサ」こと、石井将文です。
東京の国立大学である電気通信大学を次席で卒業後、同大学院にて工学修士号をいただきました。生まれた時から根っからの理系男子で、中学からの好きな教科は数学と理科と技術、将来の夢は発明家、そして嫌いな教科は社会科と国語でありました。
前の大学院時代、ひょんなきっかけ(別記事にて。)から、「忍者プログラマー」と名乗りはじめ、以来それが何となく自分にしっくりきて、そのように名乗っております。
そのようなわけで三重大学大学院に「忍者・忍術学コース」ができたときには飛びつくように入試を受けさせていただきました。それが、「人文社会科学研究科」という自分が最も嫌っていた教科の研究科に属しているなどということは、ほとんど考えておりませんでした。いわば、ノリで受験したわけです。(先生方、ごめんなさい。)

*「役に立つだけが学問ですか?」

 さて、そんなノリで文転した理系男子である私は、三重大にきて一ヶ月で絶望します。
人文社会科学とは何か、全く何も知らずに受験したので、高尾先生とお話ししながらこれまでいた工学の世界とのギャップに「大変な世界に来てしまった・・・」と思いました。
これまで私は「工学とは人を幸せにする、人の役に立つ学問である」と教えられて来ました。そのような環境で「何の役に立つの?」という質問を浴びせられてきた私は当然、どうにか役に立たせなければ意味がない、という発想しかありません。しかし高尾先生と議論する中で「人文学?別に、役に立たないよ。大河ドラマ作るのには役に立つかもしんないけどねえ。面白いからやるんだよ」と言われて、じゃあ、何のために誰のためにやるんだ、俺は何をしに来たんだ?その場のノリで行動して、軽率だったのか・・・?と理系のシカクい頭でずっと悩んでいました。

*それでも私は役立ちたい。役立ってこそ、忍者だろう?

 ふと、あらためて「工学」とは何かとWebで調べてみました。「8大学工学部を中心とした 工学における教育プログラムに関する検討」(工学における教育プログラムに関する検討委員会)によると、工学とは「数学と自然科学を基礎とし、ときには人文科学・社会科学の知見を用いて、公共の安全、健康、福祉のために有用な事物や快適な環境を構築することを目的とする学問。」だそうです。
18才の頃、理系単科大学の一年生だった私の目には一ミリも映らなかった「人文科学・社会科学の知見を用いて」という文言を9年越しに見つけ、暁光を見た気持ちでした。そうか、忍者学は、人の役に立つことの基礎たりえるのだ、自分はそれを学びにここに導かれたのだ、と今は思っています。そういう目で忍術書を見られるようになってから、忍術書は組織で働く/あるいはフリーランスのプログラマーにとっての処世術の宝庫に見えるようになってきました。今後このブログでは「プログラマーの目から見た忍者・忍術」的なネタについて書いていければと思っています。

*例えば、会社で使った忍術。

 私は、昨年三重県にきてから、得意とするWebのフロントエンド技術を買われ、現在四日市のWeb制作会社に勤めています。
そんな中で、「忍術が役に立った」例を、卑近で小さな話ではありますが、ご紹介します。
社内では、技術的なことについては私が一番よくわかっているので、よく社長に呼ばれて技術について提言申し上げるのが常となっています。社長は言うなれば主君で私は雇われの忍者ですから、ときどき、社内チャットで「忍者、5秒で来て」と無茶振りされます。そうすると私はすかさず忍者走りで社長のもとに走り、「ハハッ、御用は。」と跪きます。社長は満足げに「さすが忍者w」と笑って質問してくださるわけです。自分で言うのは大変恐縮なんですが、そんな社員はかわいくありませんか?笑 次回もまた頼りにしようと思ってくれたようで、次は「3秒で」となり、息切れさせながら参り、また笑っていただきました。

技術提案にはもちろん自信をもっていますが、一方でそんな笑いもまた、「人の役に立っている」のではないでしょうか。
人を楽しませることが忍術と、ニンジャってナンジャ展で読んだのを覚えています(要出典)。

*まとめ

 私は、戦国の情報のプロである忍者についての知見を、令和の情報社会でAIと戦いながら生き抜くことに役立てることができる気がしてなりません。あらゆる意味で、忍者の知見は「使える・役に立つ」と思います。今後はそのようなテーマを、思いつくままに書いていければと思います。(院生 石井記)