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(エッセイ/お知らせ)『忍者の精神』(山田雄司)
2019年05月30日
このたびKADOKAWAより『忍者の精神』を出版した。忍者の単著としては、『忍者の歴史』『忍者はすごかった』に続き3冊目である。忍術書には精神的側面が数多く記述されており、それをぜひまとめたいとの思いは1年以上前からもっていた。
忍術は「狐狸幼徒の様なる奇怪の一小芸」ではなく、その「道」に入らなければうかがい知ることができない世界であり、その道に入ったとしても「百鍛千練の功」を積まなければ達成することができない深遠な領域なのである。
私は書いてあることを読むだけで、忍術を習ったことがないので、「忍道」をまったく理解していないだろう。その点、どこまで「忍道」の世界に迫ることができたか心許ない。そして、その中に記される「正心」「仁義忠信」といった徳目にのっとって生きようとすると息苦しさを感じ、現実に打ちのめされることがしばしばであった。忍びたちは、このような価値観をどのように思っていたのか、はたまた現代においてこうした生き方をするのは意味あることなのか、自問自答の毎日だった。
1冊の本をまとめるのは決して簡単な作業ではないが、本書の執筆にはとりわけ苦しんだ。ぜひ手にとって目を通していただけたら幸いである。