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(学生通信)映画レビュー②「忍者狩り(2015年、監督:千葉誠治)」(院生 郷原匠)
2020年06月16日
本日紹介する映画は、2015年に公開された「忍者狩り」です。監督は千葉誠治さんという方で、恥ずかしながら私はこの作品で初めて知りました。「シュウカツ」や「AI探偵」といった作品が有名で、「AVN/エイリアンVSニンジャ」や「女忍 KUNOICHI」といった忍者映画も過去に撮られているそうです。これらについてもまた時間を見つけてレビューをしていきたいと思います。
プライムビデオによる平均評価は★5中、★2です。ちょっと低めの印象を受けます。見た人のレビューの中には、「ドC級」「なんじゃこりゃ~!」「予算が足りなかったのか?」といった酷評がものすごく多かったです。しかし中には「アクションシーンは日本一!」「殺陣がすごい」といった高評価のレビューもいくつか見られました。
天正6年の伊賀を舞台としており、いくつかの戦闘を経て最終的に甲賀に寝返った裏切り者を倒すといった内容ではありますが、私にはプロット(物語の筋)がどうも上手く理解できませんでした。登場人物の関係性や生い立ち、寝返った動機など、話を展開させていく上で重要な要素がいくつか抜け落ちており、高度な行間能力がなければ登場人物に深く感情移入できないような印象を覚えました。
主人公は伊賀の下忍・タオ(三元雅芸)。とてつもない戦闘能力の持ち主であり、顔に複雑な入れ墨があるのが特徴的です。くノ一も出てきます。名前はケイ(黒川芽以)、肌を豪快に露出した真っ黒な忍者服を身にまとっており、まるでSMクラブの女王様のような印象を受けました。行動もどこかエロティックです。
この映画の見所は、レビューにもあるようにやはりアクションシーンでしょう。大量の戦闘シーンが描かれており、そのどれもが非常にレベルの高い演技となっています。一体どれだけ練習をしたらこれほどの殺陣演技ができるのだろうかと感服させられました。まさに日本一のアクションといえるでしょう。外国人ウケもものすごく良いと思います。
映画の最後には主人公と裏切り者との戦闘シーンがあるのですが、なぜかこのシーンだけやけにグロいです。憎むべき悪敵だからこそ、徹底的にこらしめる目的でそう撮影されたのでしょうが、このシーンだけ切り取ってみれば年齢制限がかかってもおかしくないレベルです。「SAW」や「グリーンインフェルノ」といったグロ映画が好きな人にとっては満足する終わり方かもしれません。
このようにアクションは本当に素晴らしいのですが、それ以外の細かい部分でどうもC級感を消すことができていません。おそらく予算が足りなかったのでしょう、いくつかツッコミを入れたくなるところがありました。血を吐き出すシーンで急に透明の液体が出てきたり、背景の種類が2、3種類しかなかったり、甲賀の下忍衆が西洋風のドクロのお面をかぶっていたりと挙げればきりがありませんが、それら細かい部分で映画の質を少し下げているような印象を受けました。しかし逆にそれらの部分を改善することで歴史に残るような忍者映画として生まれ変わるかもしれません。
何度も何度も言いますがアクションシーンは本当にすごいです。私は質の高い忍者映画を作るには、戦闘シーンをいかに豪快にかっこよく撮れるかということが最重要要素になってくると考えていますので、その点において僕はこの映画に★5をつけたいと思っています。
忍者のかっこいいアクションを堪能したい!と思っている方は、ぜひご覧ください。絶対に満足できると私が保証します。
以上で今回のレビューを終わります。次回は「レッド・ブレイド(2018年、監督:石原貴洋)」を紹介したいと思います!(院生 郷原記)