国際忍者研究センター

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(学生通信)「孫子兵法」の「用間編」について②(院生 リトクヨウ)

2020年06月26日

 皆さん、こんにちは、院生一年生のリトクヨウです。
「用間編」について、今回は2回目です、どうぞよろしくお願いいたします。

 故用间有五:有因间,有内间,有反间,有死间,有生间。五间俱起,莫知其道,是谓神纪,人君之宝也。因间者,因其乡人而用之;内间者,因其官人而用之;反间者,因其敌间而用之;死间者,为诳事于外,令吾间知之,而传于敌间也;生间者,反报也。

 故に間を用うるに五あり。郷間あり。内間あり。反間あり。死間あり。生間あり。五間倶に起こって其の道を知ること莫し、是れを神紀と謂う。人君の宝なり。郷間なる者は其の郷人に因りてこれを用うるなり。内間なる者は其の官人に因りてこれを用うるなり。反間なる者は其の敵間に因りてこれを用うるなり。死間なる者は誑[きょう]事を外に為し、吾が間をしてこれを知って敵に伝えしむるなり。生間なる者は反[かえ]り報ずるなり。

 そこで、間諜の使用法には五種類ある。
1:因間
2:内間
3:反間
4:死間
5:生間
これら五種の間諜が平行して諜報活動を行ないながら、互いにそれぞれが位置する情報の伝達経路を知らずにいるのが、神妙な統括法(神紀) と称し、人民を治める君主の貴ぶべき至宝なのである。
(一) 因間というのは、敵国の民間人を手づるに諜報活動をさせるものである。
(二) 内間というのは、敵国の官吏を手づるに諜報活動をさせるものである。
(三) 反間というのは、敵国の間諜を手づるに諜報活動をさせるものである。
(四) 死間というのは、虚偽の軍事計画を部外で実演して見せ、配下の間諜にその情報を告げさせておいて、あざむかれて謀略に乗ってくる敵国の出方を待ち受けるものである。
(五) 生間というのは、繰り返し敵国に侵入しては生還して情報をもたらすものである。

 この段落では、用間の種類を五つ分け、合わせて用い、敵の状況を知ります。
 ここでは、内間について、唐の杜牧によると、以下の七人が内間になりやすいです。
①敵の官吏、才能があるがミスをして、前途に悪影響を与える。
②刑罰をうけ、心が恨んでいる人。
③色欲があって、または金などに貪欲をしている人。
④現在の地位に不満がある人。
⑤才能があると思っているが、重用されていない人。
⑥自分のほうが失敗するこそ、チャンスが出ると思っている人。
⑦いつも自分のほうと相手の間に彷徨い、忠誠ではない人。
 このような人を見つけ、内間に発展させるべきです。
 そして、反間についても杜牧も説明しました:
 敵の間諜が来れば、必ず事前に知しり、お金などで賄賂し、こちらに使われ、或はわざと偽情報を作り見せ、報告させる。
「孫子兵法」には、「反間」ついて、一番重要だと主張しています。この部分は今度をお紹介します。
「万川集海」には書いてある「陽忍」ですが、これは「生間」と似ていると思います。「孫子兵法」では簡単に書いてありますが、「生間」として、一番難しいと思います。何故なら、いつも敵地を巡り、危険性が高いため、臨機応変にも重要であるからです。だから、生間である以上、体は勿論、精神も一刻でも気抜くことはできないという状況だと推測されます。

 それでは今回以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。(院生 リトクヨウ記)