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(学生通信)「孫子兵法」の「用間編」について③(院生 リトクヨウ)
2020年07月02日
皆さん、こんにちは、院生一年生のリトクヨウです。
「用間編」について、今回は3回目です、どうぞよろしくお願いいたします。
故三军之事,莫亲于间,赏莫厚于间,事莫密于间。非圣智不能用间,非仁义不能使间,非微妙不能得间之实。微哉!微哉!无所不用间也。间事未发,而先闻者,间与所告者皆死。
故に三軍の親は間より親しきは莫く、賞は間より厚きは莫く、事は間より密なるは莫し。聖智に非ざれば間を用うること能わず、仁義に非ざれば間を使うこと能わず、微妙に非ざれば間の実を得ること能わず。微なるかな微なるかな、間を用いざる所なし。間事未だ発せざるに而も先ず聞こゆれば、其の間者と告ぐる所の者と、皆な死す。
そこで、全軍の中でも、君主や将軍との親密さでは間諜が最も親しい。恩賞では間諜に対するものが最も厚い。軍務では間諜のあつかうものが最も秘密裏に進められる。君主や将軍が俊敏な思考力の持ち主でなければ、軍事に間諜を役立てることはできない。部下への思いやりが深くなければ、間諜を期待どおり忠実に働かせることができない。微妙なことまで察知する洞察力を備えていなければ、間諜のもたらす情報の中の真実を選び出すことができない。何と測りがたく、奥深いことか。およそ軍事の裏側で、間諜を利用していない分野など存在しないのである。君主や将軍が間諜と進めていた諜報? 謀略活動が、まだ外部に発覚するはずの段階で他の経路から耳に入った場合には、その任務を担当していて秘密を漏らした間諜と、その極秘情報を入手して通報してきた者とは、機密保持のため、ともに死罪とする。
用間に対して、つまり一番親しく、最も重賞を与え、誰にも知られない秘密だというのである。そこで、聖智、仁義、微妙でなければ、用間が使えない。聖智、仁義、微妙というのは具体的にどんなことを指しているのでしょう。
「聖智」:聖明知恵
杜牧:まずその用間を考慮し、誠実聡明であってから使えるべきである。人はいくら顔を見ても心がわからないため、聖人でなければ区別できない。
王皙:聖智ある人は人が知られる。
「仁義」:リーダー能力であり、人と心結び、賞などに惜しくなく、時宜により、迷わず速く決定できる。
陳皞:仁を持つ者は人に恩を与え、義を持つものは時宜により行動する。君主、将軍は仁で人を結ぶことができ義で人を遣わすこともできるため、間者は心尽くして仕事をして、喜んで我々に使われるのである。
王皙:仁で心を結び、義で節操を興す。
張预:仁であれば官位、賞などを惜しくなくし、義であれば迷わず判断できる。人を厚い利益で誘い、誠をもって対する。そうしたら、間者は必ず専心で働ける。
「微妙」:
間者の仕事は本当に難しく、危険である。味方の間諜だとしても、反間になる恐れがある。間諜を使うのは、お互いに心を結ぶ一方で、誰にも信じない。このような状況で、その関係を維持するのは、微妙である。それに、間諜が送った情報は本当なのか、或はその間諜が自分が本当だと思っているが、実際、敵に騙され間違えた情報を取っただけである。だから、深く考えてから、判断すべきである。
以上で、つまり主君或は将軍には間諜を使う上で、聖明知恵で誠をもって、微妙なことから、速く判断できることを要求する。
最後で、「間事未だ発せざるに而も先ず聞こゆれば、其の間者と告ぐる所の者と、皆な死す」を見ていきましょう。
梅尧臣:間者を殺すのは情報を漏らさせるのを嫌うのであり、告げられる者を殺すのは秘密を守るのである。
つまり、間諜というのは極めて秘密的であるため、原則として、主君や将軍以外は誰にも知られないように行動する。暴れたら、或はお先に情報が漏らされたら、死ぬしかないというのである。気の毒だが、私も死ぬよりいい方法はないと思う。
間諜というのは、沢山お金などの重賞をもらえる代わりに、命はいつでも失われるのである。
現在の世界を見てみると、戦争時代だけではなく、平安であっても、国と国の間で間諜活動を行っているのではないでしょうか。
とりあえず、今回これで終わりしたいと思います、次は「用間編」について最後になりますが、どうぞよろしくお願いいたします。(院生 リトクヨウ記)