国際忍者研究センター

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(学生通信)映画レビュー⑨「レディ・アサシン 美人計」<2016年、監督:グエン・クアン・ユン>(院生 郷原 匠)

2020年08月11日

 本日紹介する映画は、2016年に公開された「レディ・アサシン 美人計」という映画です。初のベトナム映画です。ベトナム映画は一度も見たことがなかったので、今回興味深く鑑賞させて頂きました。監督はグエン・クアン・ユンさんという方です。ベトナムでは有名な映画監督の方なのでしょうか。

 この映画に登場する女優陣は、ベトナムでは非常に有名な方ばかりだそうで、主人公リン・ラン役のタン・タイン・ハーさんは、恋人にしたい芸能人ナンバー1の称号を持ち、暗殺団リーダー、キュウ・ティ役のタン・ハンさんは、ミス・ベトナムを受賞した美貌の持ち主、暗殺団メンバーの一人、マイ・ティ役のジェム・ミさんは、YAMAHAのイメージガールを務めているそうです。

 プライムビデオによる平均評価は、★5中、★4です。なかなかの高評価だといえます。レビュー数は11件と少ないですが、「面白かった」「セクシーだった」といった高評価のレビューが多く、見る前からとても期待できました。忍者映画には、誹謗中傷ともとれるような酷評レビューが一定数存在するのですが、今回の作品にはほとんどありませんでした。

 ストーリー中のベトナムは、クァン・ズ将軍という暴君に支配されているといった設定になっています。その役人が、山羊使いのズオン・リンに連れられて娼婦食堂にやってくる所からストーリーが始まります。この食堂は、美しい女店主キュウ・ティ(タン・ハン)と3人の女店員で運営されていましたが、彼女達の正体は、腐った役人や盗賊を殺して金品を奪い取る、プロの暗殺者だったのです。役人達はもちろん皆殺しにされます。そんな中キュウ・ティは、役人達が抱えていた棺の中にリン・ラン(タン・タイン・ハー)という女性が縛られていることを発見しました。彼女は幼い頃にクァン・ズ将軍率いる制圧部隊に両親を殺され、復讐するために役人達に襲いかかった所を捕らえられたのだといいます。実はキュウ・ティもリンと同じ過去を持っていました。リンに同情したキュウ・ティは、リンを暗殺者として立派に育て上げるのですが、実はリンの正体は、クァン・ズ将軍の妻であり、彼女達を殺すために派遣されたスパイであったのです・・・。以上、ストーリーの前半を紹介しました。今回の作品はストーリーがしっかりしており、途中の伏線も最後に上手く回収できておりました。多くの忍者映画は、ストーリー設定が未熟でよく分からないものが多いため、今回の映画を観てなぜかとても感動してしまいました。

 物語の後半には、クァン・ズ将軍率いる大量の制圧部隊が登場します。彼らは黒装束に身をつつみ、剣を使ってキュウ・ティ達と戦います。身体能力が異常に高く、俊敏な動きで彼女達を翻弄することから、立派な忍者であるといえるでしょう。一方のキュウ・ティらは、お色気ムンムンのカラフルなドレスを身にまとって戦います。彼女達の抜群のスタイル、しなやかな動きによって、一瞬セクシービデオを見ている気分になります。最近の忍者映画に登場するくノ一の傾向として、ほとんどがエロ要素満載で描かれることから、彼女達も立派なくノ一であるといえるでしょう。

 ベトナム映画というと、日本では馴染みがないため、あまり多くの人に見られていない印象を受けます。今回の映画から推測するに、ベトナム映画というのは「インド映画と中国映画の中間」のようなものだと感じました。リズミカルな踊りとコミカルな演出で盛り上げるインド映画、哀愁漂う音楽を用いて見る人の涙を誘う中国映画、それらの要素を取り混ぜたものこそ、ベトナム映画の本質であるように感じました。今後も機会があれば他のベトナム映画を見てみたいと思います。

 以上で今回のレビューを終わります。次回は「ニンジャ・チアリーダー」(2008年、監督:デヴィッド・プレスリー)をレビューしたいと思います!(院生 郷原記)