国際忍者研究センター

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(学生通信)『万川集海』に書いてある「陰陽五行」について(院生 リトクヨウ)

2020年10月28日

 みんなさん、こんにちは、三重大学忍者研究院生一年のリトクヨウです。今回、「陰陽五行」について、お話したいと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 実は、中国の若者と忍者の話をすると、ほとんど『ナルト』になる。そして、いろいろな陰陽五行忍術にも話が触れるだろう。確かに『ナルト』では、たくさんな「陰陽五行」の忍術が出てくるが、実際の忍術書の集大成である『万川集海』はどうだろう。
『万川集海』では「正心・第二」のところで、結構「陰陽五行」の言葉がでている。ここでは死を恐れないため、陰陽五行のことが説かれている。例えば、「一人一人は五行で構成されている」(完本万川集海訳注中島篤巳61)、(死ぬのは)「まさに身は五行に返り、五行は陰陽に返り、陰陽は一つの気に返り、一気はまた一理に帰着する」(完本万千集海訳注中島篤巳62)。つまり、「陰陽五行」は理論的な思想として、正心のことを解釈しようとしている。「陰陽五行」の転換、克ち合いの点から見ると、中国の「陰陽五行」思想との関係もあると推測できる。
 また、他に気になるところもある。それは「理」だ。「理学」というのは中国宋の時代の初めごろ始まった、新たな儒教思想として、後に深く影響を与えた哲学思想である。「正心・第二」から見ると、『万川集海』にもその影響を受けたらしい。理学の発展に従え、朱熹まで大成になって、特に「理とともに存在し、欲を滅ぼす」と主張されいる。この点では、私見の限り、「正心」に主張されたことと一致している。
『万川集海』の「正心」では、本当にいろいろな思想をも吸収した。儒、五行説のほか、仏の思想も少なくない。簡単にいうと、忍者としては、死を恐れず、仁義忠信を持ち、任務を遂行しようと主張する。だが、それは簡単なものではない。死と生はどう認識すればいいのだろうか。
 みんなさんはどう思いますか。(院生リトクヨウ記)