国際忍者研究センター

三重大学では、伊賀地域の発展のために、
忍者の歴史や文化を研究し、その成果を発信しています。

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(エッセイ)2020年をふりかえって(吉丸雄哉)

2020年12月17日

 大学院の忍者学の授業は12月17日(木)が年内最後である。ブログも17日に集めたものが年内に載る最後で新年は1月7日(木)が最初である。簡単ながらこの一年を振り返ることにする。
 今から考えられないことだが、1月は平穏で最後のセンター試験も滞りなく行われていたし、25日には忍者忍術学講座のためいらした牧野悠先生とも楽しく会食していた。月末には東映太秦映画村の調査に行き、山口記弘社長(当時)にご案内いただき、4月から公開される村蔵資料の閲覧を楽しみに再開を約したのであった。2月7日~9日で、佐賀と熊本の資料調査を行い、佐賀では深川直也先生と東統禅和尚にお目にかかり、熊本では合志マンガミュージアムでの荒俣宏さんと橋本博さんのトークショーを拝見することができた。この少し前に中国人の留学生から実家が心配でレポートが書けないと泣き言が入っていたのだが、私を含め教員はまともに受け止めていなかった。2月22日にハイトピア伊賀で行った『忍者学講座』出版記念シンポジウムは、マスクを配布し、参加者には手をアルコール消毒してもらったものの、対面で行った。そしてこれが忍者忍術学講座係では2020年の最後の対面イベントになった。2月27日に大学の前期試験、3月12日に後期試験だったが、特別な対策はとられていなかったと思う。3月14日はハイトピア伊賀で私の忍者忍術学講座があるはずが、新型コロナウイルス感染症拡大予防のために中止になった。私の講座は台風などでよく中止になっているので、吉丸先生の中止伝説にまた新たな一頁が加わりましたね、という冗談を言われていたが、まもなく2020年度前期の忍者忍術学講座はオンライン開催に移行していく。3月中旬の近世文芸の編集委員会はメール会議となった。10人の委員は一人としてオンライン会議を体験したことがなかったので、誰もがメール会議を希望した。
 新型コロナウイルスのためいろいろなものが中止となり、大学では3月25日の学位授与式が中止になった。新年度の留学生は来日できなくなり、4月8日の入学式や学生ガイダンスは中止。4月10日に始まるはずだった授業は、教養教育や人文学部は5月14日にオンラインの授業を開始した。工学部や医学部が4月17日から始めたのに比べると大変遅いが、このくらいの準備期間がないと個人的には対応は難しかった。教授会を4月7日まで対面だったが5月以降オンラインになり他の委員会もほぼオンラインに移行した。今年度は学部長補佐になって、ただでさえ会議が多いうえに、どれもコロナ対策で非常にとても長くて疲弊させられた。
 GWの伊賀NINJAフェスタにあわせて伊賀忍者活劇体験(忍者LARP)で5月3~5日に参加する予定だったが、GWの予定が9月のシルバーウィークに延期となり、結局は8月上旬に中止の決定がくだされた。6月下旬あたりはある程度コロナの拡大が抑えられていたが、8月上旬には再び拡大傾向にあったからだが、それから感染者数は減少し、9月のシルバーウィークの頃は伊賀市の人出も多く、結果論とはいえこの時期に開催できなかったのは残念だった。
 私自身は8月22日にオンラインで忍者忍術学講座「石川五右衛門について知っておくべきいくつかのこと」を公開した。忍者LARPは9月21日に伊賀でテストプレイをして、10月10日11日の「灯りと忍びの城下町」イベントで実施の予定だったが、台風の影響で11日のみの開催となった。公演・興行的にはうまくいって商業化のめどが立ち、よその地域からもやってくれないかと声がかかるほどになったが、その後は新型コロナウイルス感染症が拡大する一方なのでうまく展開てきていない。
 毎年行っていた海外普及のための忍者忍術学講座は今年は行われず、年度末にオンラインでタイの大学生らとシンポジウムを開いてパネリストになるのが今年度の私の国際交流である。
 9月5日6日の国際忍者学会甲賀大会は2021年2月13日14日に延期になってしまったが、会誌「忍者研究」3号を85頁の厚みで8月末に例年通り刊行できたのはよかった。2号までのリポジトリ登録も済んで国内外からアクセス数がそれなりにあった。ようやく11月上旬から何年も前から依頼されていた忍者本を書き始めたもののひと月たって6分の1ぐらいしか進んでいない。が、書き続ければいつか終わると信じてコツコツ取り組んでいる。
 いつもやっていることができなかった割には別のクリエイティブな仕事ができたわけでもなく、とてもつらい一年であるが、まだ終わりは見えない。
(吉丸記)