国際忍者研究センター

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(学生通信)映画レビュー㉛「RED SHADOW 赤影」<2001年、監督:中野裕之>(院生 郷原匠)

2021年04月27日

 本日紹介する映画は、2001年に公開された「RED SHADOW 赤影」という映画です。制作配給元である東映の、創立50周年を記念して作られた特別な映画です。監督の中野裕之氏は映画だけでなく、AKB48やサザンオールスターズなど、有名アーティストのミュージックビデオ撮影にも携わっておられたそうです。

 プライムビデオによる平均評価は、★5中、★2と、かなり低めの評価でした。感想としては「麻生久美子さんの太ももが最高」といった下心丸出しの高評価レビューがあっただけで、他は「くだらない」「時間の無駄」「何分耐えられるか競う映画」といった、誹謗中傷とも取れるような超酷評レビューばかりが見受けられ、とても悲しい気持ちになりました。

 時は1545年、諸国は戦国大名達が乱立し、血で血を洗う戦いに明け暮れていました。そんな中で戦国大名・東郷秀信(津川雅彦)には「影一族」という忍者集団が仕えており、彼らは「無敵の鋼」と呼ばれる高い強度を誇る金属で武器と防具を作り、不思議な忍術を習得して、忠実に任務を遂行していました。しかし今や影一族の正統な後継者は、赤影(安藤政信)、青影(村上淳)、飛鳥(麻生久美子)の3人を残すのみとなり、少数精鋭で数多くの任務を遂行していました。そんなある日、3人は京極兼光(神山繁)の動向を伺うべく、夜中に京極の居城へと忍び込むのですが、京極に仕える乱丸(藤井フミヤ)、力丸(舞の海秀平)に見つかってしまいます・・・。以上ストーリーの冒頭部分を紹介しました。主演の安藤政信さんといえば「キッズ・リターン」(1996年、監督:北野武)や「バトル・ロワイヤル」(2000年、監督:深作欣二)といった名作に出演されており、現在も実力派二枚目俳優として活躍されています。

 本作品は、横山光輝による人気漫画『仮面の忍者 赤影』を原作としているのですが、赤影のトレードマークである「仮面」が使われていないなど、原作とはいくつかの点で異なっています。それに加えて、話し口調や所作が、かなり現代っぽくアレンジされており、本来の時代劇作品とは一線を画す作品のように感じました。この点についてはレビューでも多くの方が指摘しており、「絶滅した時代劇」「日本の時代劇は終わった」など、不満を寄せる方が一定数見受けられました。私自身は特に気になりませんでしたが、時代劇ファンにとっては許しがたいことなのかもしれません。特に、東映の創立50周年を記念にして作られた作品でもあったことから、観る側の期待もかなり高かったものと思われます。

 私自身、今回の作品の一番の問題点は、脚本にあると思っています。全体的に盛り上がりに欠けており、これといった変化もなく淡々と物語が進んでいたので、30分くらい過ぎた頃から眠気を生じてしまいました。もう少し練ったストーリー展開で、いくつか盛り上がりのシーンを挿入してほしかったです。肝心のアクションシーンについても、この頃はまだCG技術があまり発達していなかったことから、そんなに期待はしていませんでしたが、もう少し切れ味鋭い殺陣演技を見たかったです。

 原作の漫画については、名著であることは間違いないので、もしかしたら今後リメイク版が作られるかもしれません。その日が来るまで、ワクワクしながら待ちたいと思います。

 以上で今回のレビューを終わります。次回は「抜け忍」(2009年、監督:千葉誠治)をレビューしたいと思います! (院生 郷原記)