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(学生通信)映画レビュー㉜「抜け忍」<2009年、監督:千葉誠治>(院生 郷原匠)
2021年05月07日
本日紹介する映画は、2009年に公開された「抜け忍」という映画です。忍者映画では有名な千葉誠治監督による作品です。千葉監督による「忍者狩り」(2015年)と「AVN/エイリアンVSニンジャ」(2011年)については、以前ブログで感想を書かせて頂きましたので、もしよろしければご覧ください。
プライムビデオによる平均評価は、★5中、★4と、なかなかの高評価でした。「肘井さんのアクションが最高」「カッコいい!」「アクションがすごい」といったように、アクションシーンに満足する感想が多く、酷評については、主にストーリー内容に不満を寄せるものが多く見られました。
天正伊賀の乱を目前に控えた頃、甲賀との争いが続く伊賀の里では、内部においても揉め事が生じており、内外共にバラバラの状態でした。そんな中でも懸命に伊賀の忍び達は生き抜いていました。秘伝の忍術を受け継いだくノ一・伺見(肘井美佳)は、幼馴染みの鎌吏(泉政行)と共に日々任務に励んでいましたが、ある日、鎌吏が何者かによって捕らわれてしまいます。それを知った伺見は鎌吏を助けるべく、掟を破って一人助けに向かうのですが・・・。以上ストーリーのあらすじをご紹介しました。主演の肘井美佳さんはカンフーを得意としていることから、忍者映画によく出演されています。助演俳優の泉政行さんは、2015年に惜しくも35歳という若さで亡くなってしまいましたが、生前は「仮面ライダー555」シリーズなどに出演し、仮面ライダー555の最大の敵キャラである、「ホースオルフェノク」として大活躍されていました。私自身、仮面ライダー555については、幼少期に興奮しながら見た記憶があるので、泉さんの訃報を知った時には本当に驚きました。
話を元に戻しますが、この映画の注目点は何といってもアクションシーンにあります。切れ味鋭い殺陣演技、非現実的なアクロバティック動作など、非常に見ごたえあるアクションばかりでした。特に、美しい容姿に抜群の運動神経を持つ肘井さんは、映画の中でもひときわ存在感を放っており、くノ一として最高の人物であると改めて実感しました。
一方でストーリー展開については、少し未熟な部分がありました。そもそも「抜け忍」という題名でありながら、伊賀国を離れて活動している伊賀忍びに焦点を当てているわけではありません。「女忍者 伺見」や「伊賀のくノ一」といったような、シンプルな題名に改名すべきだろうと個人的に思いました。またラストシーンもよく分からないモヤモヤの状態で終わってしまい、なんともいえない気持ちになりました。
しかし何度も申し上げますが、アクションシーンは本当に申し分ない一級品であります。脚本さえしっかりすれば、名作映画になることは間違いありません。最強の脚本×最強のアクションシーンが組み合わさった時、千葉監督作品は日本映画史に名を残すものとなるでしょう。その日を心待ちにしています。
以上で今回のレビューを終わります。次回は「下忍 青い影」(2019年、監督:山口義高)をレビューしたいと思います!(院生 郷原記)