国際忍者研究センター

三重大学では、伊賀地域の発展のために、
忍者の歴史や文化を研究し、その成果を発信しています。

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(エッセイ)インドネシアの日本語劇団「en塾」の話(吉丸雄哉)

2021年06月07日

 三重大学が忍者研究を開始してから毎年のように海外に講演に行っていたが、2020年度は忍者忍術学の講演はもちろんとうとう一度も海外に行けなかった。国内出張も東京に一回あっただけで、行き来がまったく途絶えている。
 前の国際忍者研究センター長の安食和宏先生がアジアに強かったこともあって、2017~2019年はアジアをよくまわった。インドネシアも2018年7月に訪れ、首都のジャカルタとちょっと離れたプルヲコルトという町のスディルマン大学で講演を行った。
 国際交流基金ジャカルタ日本文化センターの主催でジャカルタで講演を行ったときに、地元の大学生らと日本語劇を行っている劇団en塾(えんじゅく)の甲斐切清子さんからお声がけいただいた。忍者テーマのお芝居を上演するので、忍者の演技指導をしてくださる人を紹介できないかという。
 帰国後、伊賀で忍者パフォーマンスや殺陣教室を行っている羅威堂の有香さんに話を持っていったところ、ご快諾くださって、有香さんと竜斗さんのお二人がジャカルタに渡ってご指導くださった。最初は土日だけでもという話だったが、十日だったかかなり長い期間指導してくださったことをあとで知った。
 指導の結果は2018年に「姫とオロチと忍者の学校」としてジャカルタで披露され、日本では2020年4月に東京で上演される予定だった。2017年度の「神楽の里 殺人事件」を2019年に刈谷市で拝見したので、「姫とオロチと忍者の学校」も楽しみにしていたのだが、残念ながらコロナ禍でその望みは叶わなかった。
 劇団en塾は今年解散し、詳細はNHKBS1「国際報道2021」(5月21日放送)で知った。大学で教えているとよくわかるが学生はすぐに卒業して入れ替わってしまうので、一定のレベルまで学生を鍛え上げていくのはたいへんだったろうし、若者相手なのでいろいろと理解してもらうのも一苦労だったはずである。
 見られなかった「姫とオロチと忍者の学校」ほか、過去の演目は
https://www.youtube.com/hashtag/teaterenjuku
 ですべて見られるようである。
 こうなってしまったのは残念だが、せっかくなのでそれぞれ拝見させてもらうつもりである。
インドネシアから日本に働きに来ている人も多いのだが、まだまだ遠い国のように思われている印象がある。こうして国際交流に努める人がいて、日本語を学ぶ人がいることを知ってもらえればありがたい。(吉丸記)