国際忍者研究センター

三重大学では、伊賀地域の発展のために、
忍者の歴史や文化を研究し、その成果を発信しています。

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(学生通信)キャンプ流忍術修行⑦ (院生 河村昌樹)

2021年06月18日

 自然の中で長い間仕事をしていると色々な経験をするため、危険な動植物(昆虫は虫類を含む)についても詳しくなってきます。今回は植物の毒について書きたいと思います。
 植物の毒には、触るとダメなもの、触っても大丈夫だけど食べるとダメなものがあります。
 触るとダメな植物の代表はウルシの仲間です。私は皮膚が弱く、かぶれやすい体質のために、若い頃はウルシに何度もかぶれた経験があります。おかげで、今ではウルシの仲間は光って見えるので(少し大げさな表現です)自分がかぶれる事はほぼ無くなりました。しかしながら、施設を利用する方にはウルシを知らない人も多く、敏感な人は、ウルシの葉から落ちた滴でかぶれる人もいるため、身近な所にあるウルシはできる範囲で木を切っています。もちろん完全な除去はできませんし、古来よりウルシの仲間は、漆器やロウソク、草木染めの染料や、薬品として人間の役に立ってきました。当施設のプログラムにも塗り箸作りのクラフトがあります。そのため、当施設にあるウルシの仲間、ヤマウルシとヌルデが並んで生えている所があるので、自然観察のセイフティートークの時に、実物を見てもらっています。百聞は一見にしかず、誰しも危険な物に対しては関心が高いので、近くのウルシを見つけるクイズを出すとノリノリで答えてくれます。どちらかというとウルシを排除するより、その特徴を理解することが私は大切であると考えています。昔の人のように、うまくリスクをコントロールし、利用する知恵を学ばないといけないと思っています。
 これは私の失敗談ですが… 若い頃、キャンプファイアの指導を終えて、寝る前の入浴時、右側のお尻が少し赤くなり、火傷の時の水疱のようなものができかけていることに気付きました。ファイア指導は私の先輩と2人で行ったのでその事を話すと、その先輩は左側のお尻が同じようになっていると言います。もしやこれはウルシかぶれ?と気づき、翌日ファイア場のイスを確認すると、先輩と私が座ったイスの間からヤマウルシの葉が出ていました。ウルシの事はよくわかっていても、暗かったため気がつかず、事もあろうにウルシの葉の上に座るなど、最悪の失敗をしてしまいました。それ以来、座る際はしっかり確認をしています。
 忍者にとっての気の緩みは大敵です。毒の怖さを理解し、毒をコントロールし利用する知恵を身につけるためにも、失敗を糧に忍者修行は続きます。
 次回は食べるとダメな植物の毒について書きます。(院生 河村昌樹記)