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(エッセイ)しれっと国体(吉丸雄哉)
2021年06月28日
東京オリンピックまで一ヶ月を切って、その開催に関するニュースが毎日流れているが、三重県民にとっては、東京オリンピックはやや遠いことである。無観客になろうが、何人入ろうが、直接には影響ないからである。
三重県民にとって実際に重要なスポーツイベントは国体である。本来なら昨年度に行われていたはずの「とこわか国体」は今年の9月25日~10月5日に開催されることになっており、三重大学の体育会運動部にも学生ボランティアの要請が来ている。とはいえ、新聞の紙面もオリンピックに割かれていて、オリンピックの開催を非難するような論調で、国体が批判されている記事は今のところ目にしていない。オリンピックで未曾有の混乱と陽性者の増加があれば、実施の是非が取り上げられることもあるかもしれない。
正式競技のほかに、実質的に高校野球の特別競技、中央競技団体が主導する綱引やグラウンドゴルフのような公開競技、そして県内在住者を対象として子どもからお年寄りまで気軽に参加できるスポーツとして考えられていたデモンストレーションスポーツがある。
デモンストレーションスポーツは早ければ5月から始まっていたのだが、今のところ7月中旬のものまでは開催中止が決定している。
やはり国際忍者研究センターの一員としては6月20日開催予定の「伊賀流手裏剣打スポーツ」に関心があったのだが、5月28日に中止が決まっている。忍者関係にこじつければ、8月29日開催のスポーツ健康吹矢や10月9日・10日開催のスポーツウエルネス吹矢はまだ中止が決まっておらず、実施されればと思っている。
なお、伊賀市では正式競技の剣道が開催される。聞いた感じでは部外者が競技を見るのは厳しそうである。剣道部員はボランティアで協力するようで、白熱した試合を間近で見るよい経験が得られればと思うが、オリンピックと同じで本当に開催されるのか現実味が感じられない。本職である教育ですら、オンラインとなって、日々自分のまわりから現実らしさが失われている。オリンピックや国体が私の生活から失われてきた現実感を蘇らせるならありがたいことだが、それが痛みをともなうようなものでないことを願っている。(吉丸記)