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(学生通信)映画レビュー㊻「BLACKFOX」<2019年、監督:篠原啓輔、野村和也>(院生 郷原匠)
2021年10月09日
本日紹介する映画は、2019年に公開された「BLACKFOX」というアニメ映画です。スタジオ3Hzというアニメ会社が制作しており、日本だけでなくフランスでも公開されています。この映画の連動企画として制作された「BLACKFOX Age of the Ninja」という映画については、以前レビューさせて頂いたので、そちらもご覧頂ければと思います。
プライムビデオでの平均評価は、★5中、★4となかなかの高評価でした。「キャラクターの表情が素敵」「アクションシーンがすごい」「好き」といった高評価の内容が多く見受けられる中、「主人公がイマイチ」「映像がキレイなだけ」といった酷評もいくつか残されていました。
時は近未来。忍者一族である石動(いするぎ)家の長女・律花(七瀬彩夏)は、父・アレン(土田大)のような偉大な科学者になるために日々勉強に勤しむ一方、祖父・兵衛(津田英三)から、石動家に代々伝わる忍術の指導を受けていました。そんなある日、何者かによって石動家の忍者屋敷が襲撃され、父と祖父が惨殺されてしまいます。律花は絶望し、大学進学を諦めて父と祖父を殺した犯人への復讐を誓います。その後、律花は地元の探偵事務所で働くようになり、子供の頃に父からプレゼントされたアニマルドローン、犬のオボロ(藤原啓治)、ネズミのマダラ(豊崎愛生)、鷹のカスミ(鳥海浩輔)と共に犯人捜しを始めます。そんなある日、律花はミア(戸松遥)という少女に出会います。律花とミアはお互いに気が合う存在だったことから、すぐに打ち解けました。良い友達ができて喜んでいた律花のもとに、犯人に対する有力な情報が舞い込んできました。事件解決の手がかりは父アレンの同僚であった、ローレン博士(飛田展男)にあることが分かり、律花は早速、彼の研究所に忍び込むのですが・・・。以上、ストーリーの前半をご紹介しました。
この映画全体的に言えることは、1つ1つの絵が非常に美しくて、鑑賞していてとても気持ちの良いものであるということです。改めて日本のアニメ技術の高さを実感しました。もし映画館で直接見ていたならば、より感動していたことでしょう。脚本についてもサスペンス調で上手く練られており、飽きのこない内容です。21世紀における忍者映画の中でも、かなりレベルの高い方だと思います。
個人的に気になったのは、律花の戦闘スタイルです。敵キャラはパワードスーツを着たり、サイコキネシスを使ったり、波動弾を使ったりと、いかにも近未来的な戦闘スタイルであるのに対して、律花は、黒装束と石動家に代々受け継がれるキツネのお面を身に付け、忍者刀や苦無、爆弾を用いて闘うといった、至極レトロな戦闘スタイルなのです。近未来的な戦い方は、アニマルドローンを活用することくらいです。せっかく時代設定を近未来にしているので、もう少し科学の恩恵にあずかっても良いのではないかと思いました。忍者は時代に対応して生き抜くことが求められるので、律花ももう少し高性能の武器を駆使した戦闘スタイルにすべきです。
ちなみに前回ご紹介した「BLACKFOX Age of the Ninja」は、江戸期における石動家の物語ということで、律花の先祖が主人公となっています(山本千尋さん主演)。アニメ映画の伏線となっている部分も多くあるので、この実写映画を見てからアニメ映画を見ると、より一層楽しむことができると思います。ぜひともご覧ください。
以上で今回のレビューを終わります。次回は「女忍 KUNOICHI」(2011年、監督:千葉誠治)をレビューしたいと思います!(院生 郷原記)