国際忍者研究センター

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(学生通信)映画レビュー㊽「NINJA」<2009年、監督:アイザック・フロレンティーン>(院生 郷原匠)

2021年10月25日

 本日紹介する映画は、2009年に公開された「NINJA」というアメリカ映画です。前回「ニンジャ・アベンジャーズ」という映画をレビューさせて頂きましたが、その前作です。監督のアイザック・フロレンティーン氏は空手家としても活動されているそうです。主演はスコット・アドキンス氏。助演俳優として井原剛志氏、肘井美佳氏が出演されています。

 プライムビデオによる平均評価は、★5中、★4と高めですが、レビューが1件しかないため、あまり信用できません。「ハリウッドNINJA再降臨か」といった、比較的高評価のレビューが残されています。

 アメリカからやってきたケイシー・ボウマン(スコット・アドキンス)は、甲賀忍術継承者・武田(伊川東吾)の道場で修行を重ね、めざましい成長を遂げていました。そんなケイシーの成長ぶりに対して、仲間のマサヅカ(井原剛志)は次第に嫉妬を感じるようになります。そんなある日、マサヅカは修行中にケイシーに真剣で襲い掛かったことで、師である武田に破門を命じ付けられてしまいました。その後、武田は甲賀忍者の宗家を、娘・ナミコ(肘井美佳)に継がせることを決定しますが、それを聞いたマサヅカが駆け戻り、自分が真の後継者であることを主張します。マサヅカは破門後、ヤクザの世界に身を落とし、殺し屋として暗躍していました。マサヅカはどんな手段を使ってでも後継者になることを武田に伝え、道場を去っていくのでした・・・。以上、ストーリーの前半をご紹介しました。

「ニンジャ・アベンジャーズ」の前作ということもあり、時系列でいえば、今回の作品の方が古いです。本作から先に見ればよかったと少し後悔しております。

 本作品は忍者映画によくありがちな、「善の忍者が悪の忍者を倒す」という勧善懲悪ストーリーです。善の忍者としてのケイシーは、物語の後半まで体術だけで相手を圧倒しますが、映画のラストにおいて、ようやく黒装束に身を包み、手裏剣や撒き菱、ヌンチャクといった忍具を駆使した戦闘スタイルを見せてくれます。そのキレのある動きと豪快さはまさに見事なものでした。

一方、悪の忍者としてのマサヅカは、終始、パワードスーツのような近未来的な黒装束に身を包み、体術や日本刀、毒矢などを使って相手を倒します。甲賀忍者は毒の扱いに長けていたと言われているので、映画中でも毒矢を用いているのでしょう。またマントを使って空も飛んでいました。ケイシーと比べると、かなり超人的な忍者として描かれています。そんな両者の違いを比較しながら鑑賞してみても面白いと思います。

 監督のアイザック・フロレンティーン氏は、本当に忍者が好きなのだと思います。「ニンジャ・アベンジャーズ」の時もそうでしたが、一つ一つのアクションに工夫が見られ、忍者への敬意や愛というものを画面越しでも感じることができるのです。海外の忍者作品の中でも突出した作品だと思います。ぜひ多くの方々にその世界観を味わって頂きたいです。

以上で今回のレビューを終わります。次回は「ラスト・ブラッド」(2009年、監督:クリス・ナオン)をレビューしたいと思います!(院生 郷原記)