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(学生通信)映画レビュー51「燃えよNINJA」<1981年、監督:メナヘム・ゴーラン>(院生 郷原匠)
2021年11月17日
今回から20世紀に制作された忍者映画についてレビューをしていきます。まずはじめは、1981年に公開された「燃えよNINJA」という映画です。全米で忍者ブームを巻き起こした伝説の忍者映画であり、忍者映画史の中でも絶対に外せない作品です。監督のメナヘム・ゴーラン氏は、イスラエル出身の映画監督で、「燃えよNINJA」以外の代表作としては「デルタ・フォース」(1986年)、「スーパーマンⅣ」(1987年)、「オーバー・ザ・トップ」(1987年)といった作品が存在します。
プライムビデオにはなかったので、自宅近くのGEOでDVDを借りて鑑賞しました。ネット上の評価としては「主人公やショー・コスギ氏の動きがキレッキレ」「迫力のある忍者アクション」「カット割りが素晴らしい」といった高評価レビューがある中で、「ストーリーがツッコミどころ満載」「中盤がつまらない」「ギャグ感あふれる忍術」といった酷評もいくつか見受けられました。いくら忍者映画のレジェンドといえども、忍者映画は忍者映画であって、B級作品からは抜け出せない運命にあるのかもしれません。
日本の忍者道場で免許皆伝を受けた白人男性・コール(フランコ・ネロ)は、あるきっかけで友人フランク(アレックス・コートニー)の住むフィリピンの農場へ向かいます。その農園はとても広大で、フック(ツァッチ・ノイ)率いるチンピラ軍団が、その土地を奪おうとフランクに脅しをかけていました。それに対してコールは、得意の忍術を使ってチンピラ軍団を蹴散らします。怒ったチンピラ軍団は、支配元である国際的大企業の経営者・ヴェナリウス(コンスタンティン・グレゴリー)に嘆願し、部下を送り込ませます。しかしコールはそれらも蹴散らします。今度はヴェナリウスが怒り、日本に出向いて忍者を雇いました。そこで雇われたのは、コールの兄弟子だったハセガワ(ショー・コスギ)でした。皮肉なことにコールは、共に忍術を学んだ兄弟子と闘うことになってしまったのです・・・。以上、ストーリーの前半をご紹介しました。
ショー・コスギ氏は「Perfect Body」というギャグでおなじみ、ケイン・コスギ氏の父親であり、この映画の出演がきっかけで世界的アクションスターとなりました。
1973年に、ロバート・クローズ監督がブルース・リー主演で「燃えよドラゴン」という世界的名作を制作しましたが、今回の「燃えよNINJA」は、おそらくこの作品をモチーフに作られたものと思われます。キレの良いアクションを真似ていることはもちろんですが、「単身で敵のアジトに潜入して大勢の敵と戦う」「ラスボスが兄弟子」である点など、ストーリーにも多くの共通点が見られます。名作をリメイクして失敗した例は枚挙にいとまがありませんが、個人的には、この作品は成功した部類に入ると思います。
アクションシーンについては、最近ではCGを使うことが多いですが、CGが本格的に登場するのは、1993年、スティーヴン・スピルバーグ監督による「ジュラシック・パーク」以降です。そのため「燃えよNINJA」が製作された1980年代は、まだまだCG技術の質は劣るものの、本作品のアクションシーンは、俳優の高い身体能力と秀逸なカメラワークのおかげで、CGに頼らずとも迫力あるものに仕上がっています。これは本当に凄いことだと思っています。
レビューの中には、ストーリーに不満を寄せる方が多くいらっしゃいました。確かにカラフルな忍者服を着た忍者が登場したり、いくつかよく分からないところがあったりなど、ツッコミどころ満載のシーンはぼちぼち確認できるのですが、今回は無視させていただきます。とにかく忍者映画の代表的作品であり、忍者映画史に名を残す作品であることには間違いないので、ぜひご覧頂ければと思います。
以上で今回のレビューを終わります。次回は「忍びの者」(1962年、監督:山本薩夫)をレビューしたいと思います! (院生 郷原記)