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(エッセイ)姫路文学館 特別展「生誕100年記念 山田風太郎展」を見てきました。( 吉丸雄哉)
2022年05月19日
姫路文学館で行われている特別展「生誕100年記念 山田風太郎展」(4月16日~6月5日)を5月中旬に見てきました。ここ2年ほど県外移動が全然できなかったのを考えるととても自由になりました。
姫路文学館の訪問は初めてですが、展示「大正の文庫王 立川熊次郎と「立川文庫」」(2004)の図録は『忍者とは何か』の執筆などでもたいへん役に立ちました。昨年は「特別展 生誕100年記念 作家 五味康祐展」があったのですが、これには行けなかったのでとうとう念願叶いました。
展示は忍法小説に特化したものではなく、山田風太郎の生涯全般を扱ったものです。私の風太郎初体験は毎日新聞に連載されていた『柳生十兵衛死す』(1991年4月~1992年3月)でして、これが風太郎最後の小説作品なので遅い読者といえますが、大学に入ってから徐々に読むようになり、忍法小説や明治物はほとんど読んだと思います。現在は以前ほどの風太郎熱はないのですが、それでも好きな作家の展覧会に行けたのは喜びでした。
『我らの山田風太郎 古今無双の天才』(KAWADEムック、2021)に紹介されていた「小説腹案集」の現物を見ることができました。非常に細かく構想を練って書いていたことがわかったのも収穫でした。研究対象としては私には大きすぎるので、谷口基先生ら専門家の研究成果を待ちます。
正直、行くまではあえていくほどではないのではとか、図録を買えば済むのではと思ったりもしたのですが、山田風太郎が執筆に使った机とか原稿やメモなど、実物だからこその満足感がありました。6月5日と会期終了が近づいていますが、行ける人は是非ご覧になればと思います。(吉丸記)