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(学生通信)『忍者と玉秀斎 その8』(院生 四代目・玉田玉秀斎)
2022年07月28日
世の中に結構、忍者は存在している。
小説、映画、マンガ、アニメ、ゲームでいつも忍者は大活躍。
ヒーローになるか、悪役になるかはそれぞれの物語次第だが、神出鬼没でその姿を捉えるのは難しく、途轍もない身体能力と繰り出される忍術で人間を圧倒する。
架空の世界で忍びたちはいつも大活躍だ。
また実際に会える忍者として、エンターテイメントショー忍者、町おこし忍者、おもてなし隊忍者、そして、数百年の忍びの術を継ぐ者たちがいる。
たまたま、そんな忍者の中の1人と出会った。
そこは島根県安来市だ。
安来市は安来節で有名だが、それよりも古い歴史があるものがある。
それが鋼だ。
村下といわれる技術者が火に風を送り、高温となった炎の中で粗鉄を溶かし、それを何度も打ち付け不純物を取り除き、最後に残ったものが本物の鉄=鋼となる。
この地には鋼の製造法を伝えたという金屋子伝説が残っている。
そんな安来市に数年前、建てられたのがアルテピアホールだ。
そこで毎年、数回シリーズで行われているのが『ハガネミュージック』。
音楽も鋼と同じとように、風で音を奏で、何か打ち付けリズムを刻み、他の人ができない職人技で聞く者を魅了する。
鋼と音楽は共通する。
そんな本物の音楽を世界中から招いて安来で演奏して貰う催しなのだ。
幸いなことに、そのナビゲーターを例年させて頂いている。
その日もハガネミュージックでアルテピアホールにいると関係者から声をかけられた。
「玉秀斎さん、忍者、忍者とおっしゃっておられますが、島根県にも忍者いるんですよ」
「そうなんですね。島根県の忍者!!是非お会いしたいです。何をされている方なんですか?」
「ふふふ。今度ご紹介します。彼は普段、松江なんで」
松江に忍者がいるらしい。
「よろしくお願いいします」
とお願いをしたまま数カ月がたった。
そして、その年の次のハガネミュージックの日、遂に松江の忍者と会うのだった。(院生 四代目・玉田玉秀斎記)