国際忍者研究センター

三重大学では、伊賀地域の発展のために、
忍者の歴史や文化を研究し、その成果を発信しています。

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(学生通信)『忍者と玉秀斎 その14』(院生 四代目・玉田玉秀斎)

2023年04月27日

 大学院入試までの1ヶ月。
 勉強だけに打ち込めればいいのだが、講談師としての仕事を止める訳にはいかない。
 止めた瞬間に収入がストップするのだ。死活問題。
 さらに、僕の場合は新作のご依頼を受けて創作する機会が多いので、資料読みや現地訪問、関係者取材など、舞台で講談をする時間以外にも結構手間がかかる。
 気づけば、あっと言う間に1ヶ月が経っていた。

「やばいぞっ!!」
 そんな気持ちで近鉄電車に飛び乗ったのが試験前日。
 津駅前のホテルにチェックインし荷物を置くと、人生で初めて、三重大学のキャンパスに向かった。

 駅前からバスに乗り、最寄りのバス停で降りたが、辺りにキャンパスは見当たらない。
 大きな通りを渡り、住宅街を過ぎると、立派な三重大学の正門が見えて来た。
 警備員さんの前を通り、キャンパスに入ると、大きな案内看板がある。
 それを見ながら、
「どこに試験会場があるのかな?」と探してみると、どうやら一番奥の建物が試験会場らしい。

「いざ、出陣じゃ!!」
 と歩き出したが、歩めど、歩めど、目的の建物には到着しない。
「年のせいか、運動不足か、三重大学が大き過ぎる・・・」
 とにかく初めて歩く道は遠いのだ。

 数分後、やっと目当ての建物の前まで来た時には疲れきっていた。
「これは思っているよりも2本ほど早いバスに乗らなければならない。いや、ここは社会人の力をつかってタクシーか…」
 そんな事を考えながら、駅前ホテルへと帰ってきた。
 部屋では、持参した忍者の本を読みなおすが、頭に入っているのか、入っていないのかよくわからない。
 何と言っても、ちゃんとした試験を受けるなんて20年数年ぶりだ。

「徹夜で勉強して」と思ったが、「そこまでの体力はもうないこと」を普段の仕事で思い知っているので、0時ぐらいに寝た。(院生 四代目・玉田玉秀斎記)