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(エッセイ)インタビュー依頼について<吉丸の場合>(吉丸雄哉)
2023年06月22日
私のような研究者でも月に1、2回ほどはインタビューをさせてくれという依頼がくる。学外だけでなく学内からもまあまああって、先日は国際交流センターの留学生からインタビューの依頼があった。
インタビューの依頼があって、引き受ける引き受けないという二つの選択肢があるのだが、私におけるその決定の要因は、インタビューされた内容がいったい何に使われるかである。
インタビュワーが知識を得たいという理由でインタビューを申し込んでくることもある。企画を推し進めるためにインタビューによって知識を得たいというのもあれば、単に教養を得るための(ように思える)場合もある。
本や雑誌のライターさんからのインタビューでは、インタビューされた内容をもとにまるまる記名の雑誌記事にする場合もあれば、なにかの記事のコメントとして使われる場合もある。
私が専門とする内容を聞かれることがほとんどとはいえ、インタビューされる時間と同じぐらいインタビューの予習につかうので、それなりに時間をとるし、意外と疲れる。前後の仕事の流れが切れてしまうのも困る。
私は就職が遅かったことや国立大学に勤務していることから、できるだけ研究成果を世間に還元しようと思っているが、こういったものの応対は必ずしも楽しくないことがあるので、依頼文を読んで応対に迷っているうちに回答期限を過ぎてしまうことが最近は増えた。
件の留学生の依頼は杜撰な感じで外部からならお断りするところだが、共通教育でやっている雑誌を作るといった、依頼からが修行というマスコミ実践系の授業ではなくて、「聴解」の授業で、大学剣道部の顧問をしていることを聞くという変わった依頼だったので、本人に会ってとりあえず話を聞くことにした。結果、インタビューへの私の回答の音声を教材としてつかうことがわかったので、依頼のやり方を教えたうえで、インタビューに答えたのだった。学生のメールには5~10分でと書いてあったのだが、40分かかったし、そうなるものだと私は最初から予想していた。
インタビュー依頼のうち、雑誌や本のライターさんはちゃんと企画書を出してくれるが、放送関係は曖昧なまま依頼してくることが多くて本当に困る。放送に使うなら本番に謝金をもらうので打ち合わせは無料だが、単に自分の企画を進めるために知識を教えてもらいたいというならそれ自体が専門的知識の提供なので謝金が欲しい。
最近、文部科学省が「放送番組における出演契約ガイドライン 」を定めているのを知った。
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/024/08031816/007/002.htm
2008年2月25日の「著作権分科会 過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会(第1回)議事録・配付資料」のようだが、もっと早く知っておけばと思った。
「契約の目的」が最初に書かれているが、そういったものを記した企画書もなしに話をもってこられても、いったい自分がなにをやるのかわからなければお引き受けするのは難しい。
ちゃんとしているところはもちろんあるが、そうでない場合も少なくないのでこうして記しておく。(吉丸記)