国際忍者研究センター

三重大学では、伊賀地域の発展のために、
忍者の歴史や文化を研究し、その成果を発信しています。

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(学生通信)『忍者と玉秀斎 その20』(院生 四代目・玉田玉秀斎)

2023年07月27日

 2022年4月からはじまった大学院で忍者の研究をするという新しい修行は想像以上に大変だ。全ての授業が少人数のゼミ形式のため、予習が欠かせない。
 しかし、その時間を作るのがなかなか難しい。
 講談師として日々の生活をしているところに、大学院での研究が加わるのである。
 時間のやり繰りがどうしても必要になる。
 そのやり繰りの起点は木曜日だ。
 忍者コースの授業は有難いことに木曜日にまとめて下さっている。
 その点、社会人でも参加しやすい。
 木曜日は1030~2000まで丸1日が授業となる。
 その内容は
1030~1200「忍者に関する論文講読」
1300~1430「忍者にまつわる原文講読」
1440~1610「くずし字講読」
1630~1800「くずし字基礎」
1830~2000「研究指導」
 である。
 全てが初めての内容ばかり。慣れないことばかり。
 しかし、知的好奇心の扉はドンドンと叩いてくれる内容だ。
 この日にむけて1週間をはじめるが、目の前には高座がある。

 僕の講談師としての活動は古典講談を語るよりも、新作のご依頼を頂くことの方が多い。
 その過程は、「地域に残る物語を講談にして下さい」というご依頼を頂くと、
 まず現地に行く。その物語の現場を見学する。
 その地域の方々がその物語にどんな思いをお持ちなのかをお伺いをする。
 物語に関する資料を頂く。
 その資料を読み込み、考え込む。
 足らない資料を自分で探す。
 何も考えずに放置して、物語が動く瞬間を待つ。
 物語が動き始めた瞬間をとらえて、一気に完成させる。
 という流れになる。
 つまり時間がかかる。
 しかしある時、この時間の流れを昔体験したような気がした。
 それは講談師に入門した当時のことだ。
「講談とは何か」もわかっていない司法浪人時代に入門してしまった僕は、途轍もなく恐ろしい師匠のもとで、意味のわからない日々を過ごすことになるのだった。
 あの感覚に近い。
 詳しくは後日、改めて。(院生 四代目・玉田玉秀斎記)