国際忍者研究センター

三重大学では、伊賀地域の発展のために、
忍者の歴史や文化を研究し、その成果を発信しています。

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(学生通信)現代の陽忍とは?(院生三橋源一)

2018年11月30日

忍術書を読んでいると、潜入の為の様々な手法や心得が記載されている。陰忍の面目躍如といった感がある。方や、万策を弄したところで、城の正門から堂々と入るのが陽忍である、との記載も見られる。陰忍技術を思いながら現代の建物を見上げてみると、鉄筋コンクリート、夜間照明、24時間遠隔警備など、忍術書の技術では表面上とても対応できないものばかり。そういえばかの有名な中野学校でも忍術書を研究した結果、現代戦では使えるものは少ない、との結論に至ったとか至らなかったとか。

では現代の陽忍技術とはなんであろうか。「正門から堂々と入る」ことを成功させる正解の一つは、私はビルメンテナンス業者になることだと常々考えている。どのような建物であろうと、人が利用する限り汚れは出る。トイレに至っては平均一日5回必要である。またコンクリートの密室で快適環境を維持する為には電気・空調・給排水維持管理が欠かせない。

こういう理由で、これまで公共施設・商業施設・工場・研究所等々大抵の建物に業者として堂々と出入りしてきた。通常、建物の裏方は施設管理・警備・清掃はセットになっている為、警備に怪しまれることはほぼ無い。場合によっては維持管理の為、建物図面、系統図等々活用する他…危険なのでこれ以上は控えます。

普段当たり前と思っていたことが忍者側から考えると恐ろしく都合の良いことばかりに気が付く。そういえば、スパイ映画でも時々活用されるのが清掃員や設備員であったりする。

現代の建物に潜入するには現代の建物を良く知っている人物が適任であるということか。

そう考えると逆に中世の家の構造を良く知っていた大工と忍具の関係を見てみるのも面白いのではないかとふと考える。(院生三橋記)