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’(学生通信)忍者の占いと忍術の幅広さ(院生田中(仮))
2019年02月01日
こんにちは!修士1年の田中(仮)です。
先日、新年が明けて初めての大学院の授業が始まりました。以前にもご紹介した、山田先生の授業で読んでいる「用間加条伝目口儀」も上巻・下巻の解読が終わり、今回からは「忍法行巻」という章に入っています。この忍法行巻の予習をしていたのですが、そこには「斗」「房」「鬼」「昴」「室」などの謎の文字がたくさん出てきました。なんか呪文みたいですよね…。みなさんはこれが何を意味するかわかりますか?
これは「二十八宿」といって、星の周期を28に分けた星座のことをいいます。そしてこれを使った占いを「宿曜経」というのですが、安倍晴明などで有名な陰陽師は、この二十八宿のほかに十二支や十干、五行などを使って、時間や方角の吉凶を占いました。そしてこの忍法行巻には、これらの占い方がずら~っと記載されているのです。忍者も占いを学んで使っていたのでしょうか。
萬川集海によると、「占いは戦の吉凶を占うために昔から使われてきたが、味方がやっても敵がやっても同じ結果になるものであるし、占いの結果を過信して縛られすぎるのは良くない。しかし、諸兵卒達の勇気を奮い立たせるためには使えるから、全く使わなくてよいというわけでもない。」というような趣旨の記述があります。萬川集海はある程度武士といいますか将としての視点や思想が入った文書なのでこのような記載がありますが、忍者の心得を読んだ咏である「義盛百首」には
しのび行 方角あしき 時ならば まづよき方に 門出をせよ
とあることからも、実際の忍びの者として働いていた忍者達は諸兵卒と同様、忍びに行く際には方角の吉凶を占い、方向が悪ければ方違えをするなどして、験(げん)を担いで忍び働きをしていたのでしょう。忍者特有ではないかもしれませんが、昔の人はこのような占いも嗜んでいたのだと思います。
そして忍術書に書いてある内容を解読していくにあたっては、文字が読めてもその意味がわからないと理解したことにはなりませんので、授業では少しだけその占いの方法も山田先生と一緒に勉強しました。「亥年の何月何日はどんな運勢になっているのか」などを「式盤」の図を参照しながら星回りを数えて占ってみたのですが、これがなかなか興味深いのです。本当はもっと奥深いものなのでしょうが、古来の占星術を実際にやってみるというのはなかなか楽しいですね!
授業の後、もうちょっと知りたくなって宿曜経や陰陽師が使った「六壬神課」の本なんかをAmazonでポチッとしてしまいました。自分の誕生日から星の性質を占ってみたのですが、僕は二十八宿でいうと「胃宿」のようです。宿曜占星術光晴堂さんのWEBサイト(https://www.kosei-do.jp/)から胃宿の性質を引用しますと、
情熱的で闘争心が旺盛なあなたは、とても自身家で肝が据わった人。短気で気性が激しく、好き嫌いがハッキリしています。 頭の回転が速く、おまけに緻密なのでチャンスを掴むタイミングの良さは抜群です。好奇心が旺盛で人を笑わすような演出が大好きで、行動力も人一倍ありますが、自分勝手な面があり、その出すぎた行動が原因で周囲から反発を買う傾向があります。猛々しくて何が起きても動じない真の勇気がありますが、意外に陰湿で執念深い面もあるようです。自分の意見に対して反発する人を無意識に攻撃するところがあるので、相手の考えや価値観を受け入れることは苦手でしょう。また、人のものを欲しがる癖があり、強引に奪い取ってしまうことも。
自分はあまり短気ではないので、他人を攻撃したりとか、さすがに人のものを強引に奪ったりはしないですが…そこ以外はすごく当たってました!これからも腹黒く、ねちっこく、陰湿に忍者を勉強していきたいと思います(笑)宿曜占星術はネットで検索すれば簡単に診断できます。おもしろいですし、当たっていると結構評判のようですので、ぜひみなさんもやってみてください。
忍術を忍術書から紐解いて行こうとすると、そこには忍び込む術だけでなく、人から情報をどう収集するかのコミュニケーション的な話や人相から性格を見分ける方法、武士がどのような礼法をしているかや戦における作法や陣方など、そして占いに至るまで、本当にたくさんのことを学ぶ必要があります。これらを深く広く突き詰めていきたいですね!占いももっと深く調べたいのですが、あまり修論のテーマに関係のない部分にハマりすぎたりすると、進行に影響が出てしまいますのでほどほどにします…広く忍者や忍術の全体像が理解できるように、これからも頑張りたいと思います!(田中(仮)記)