国際忍者研究センター

三重大学では、伊賀地域の発展のために、
忍者の歴史や文化を研究し、その成果を発信しています。

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(エッセイ)あの石碑はなんだったのか(酒井裕太)

2019年04月08日

休日に、そろそろタケノコが出てきてるのではないかと藪の中にスコップ片手に入ってきました。超牧歌的な、生まれた時からすでに限界集落に住んでいるので、自慢ではありますがタケノコ探しはお手の物です。雑草や落ち葉だらけの地面でも、タケノコのさきっちょを見つけるのはもちろん、足裏の感触で「ここだ」と当てられるくらいに私も野人化してきました。村の山には、秘宝埋蔵伝説もあるのですが、タケノコのようにここだと見つけたいところですが叶いません。

そんな狩りの最中、ふと幼少期に山の中を探検していた時のことを思い出し、山奥に謎の石碑があったことを思い出しました。こういうことを思い出すのも、伊賀の国際忍者研究センターなる場所で働きだしたゆえに、脳裏にあるアンテナにひっかかったのかもしれません。なんせ、郷土史料の中に書かれてすらない石碑のはずなので「もしやあれは何かすごいものだったのではないか」という期待がこの年になって突然膨らみ、私はスコップで倒木や笹を打ち払いながら、記憶にある山の深くに突き進みました。このあたりにあったのでは?と右往左往すること小一時間、遠目に丸っこい岩を見つけやっと目的の石碑を発見できました。

しかしながら、近くで見てみると、それは明治期のただの「みちしるべ」でございました。がっかりはしましたが、昔はここが人々の通り道だったのかとほんの小さな浪漫を感じつつ、更に昔、伊賀の忍びも通ったのだろうかと、若干強引ながらも忍者のことも想像した週末でした。(酒井記)