国際忍者研究センター

三重大学では、伊賀地域の発展のために、
忍者の歴史や文化を研究し、その成果を発信しています。

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(学生通信)三重大学院の忍者・忍術学コースに通学しての総括②(院生 嵩丸)

2020年08月10日

 皆の衆こんにちは!院生3年の嵩丸です。こちらのブログも今回で最終回となりました。いやぁ感慨深いものですね。

 同じ年に第一期生として入学した三橋さんが、昨年度に忍者・忍術学コースの初の修了生となったことで、今すごく海外で空前絶後のバズりを見せています。彼は勉学の方ももちろんですが、高校生の頃から武術や忍術を稽古していたため、まさに文武両道の忍者として、世界各国で期待を集めているのです。各国のニュースは山田先生の研究室のホームページにまとまっているので、ぜひ見てみてください。下の方のリストは全部その件の話題となっています。
http://onryo.syuriken.jp/gyoseki.htm

 世界的にも注目される大学院の忍者・忍術学コースですが、現在三期生までの生徒7名(+1名修了)が在学しており、僕も含めてそのほとんどが社会人学生です。おおよそ個人事業主や忍者関連のプロジェクトを抱える企業に所属して、何らかの忍者の仕事に就いている方が多いです。自分もそうなのですが、他の分野の学部生として卒業し、特定の企業で既に何らかの仕事をしてキャリアと積んだ上で、その業務に忍者の知識や研究成果を活かそう、または教養として忍者の知識を深めようということで在学している方が多いというのが、現時点の忍者・忍術学コースの特徴と言えるでしょう。

 まだ忍者・忍術学コースにおいて学部生から修士、または博士に行って、その後の就職という例はない(現在1名の方はそのルートに乗っていますので大きな期待を寄せています)ので、果たして忍者の専門知識を活用した進路として、適切な就職先があるのかはまだよくわかりません。学芸員資格などをとれば、忍者関係の展示を行う博物館などでの就職などもあるかもしれませんが、そのような施設は少ないので狭き門ではあると思います。

 今後将来的に忍者・忍術学コースで学んだことを活かした仕事をしようと思った時に、その受け入れ先となる就職先は、それほど多くはないというのが現状だと思います。これはそもそもとして、忍者界が観光・エンタメ・フィクション先行の業界であり、そこまでの専門的知識を必要としない分野であることが根本の問題としてあるのでしょう。つまり、本格的な忍者の知識を活かせる仕事の需要がさほど多くなく、市場としても大変小さいものであるという現状ということです。
だからこそこのコースを修了した人が、その後社会においてどんな功績を残すか、忍者・忍術学コースの修了生としてどのようなロールモデルとなりえるかは、今後のこのコースの入学希望者への指針としても重要な意味を持つのではないかと思っています。現時点で正解も市場もないような忍者の専門家、もしくはそれを活かした何らかの道を、自分で切り開いていかねばなりません。これはなかなかに責任重大なことです。そこまで気負わなくてもいいかもしれませんが、特に第一期生としては、三橋さんのバズり方を見ても、今後の動向に注目されることは間違いないでしょう。
 
 博士課程の進学については正直まだ迷っていて、というのも三重大学の人文社会科学研究科には博士課程がありません。地域イノベーション学という理系方面の博士課程はあるのですが、自分の研究テーマは忍術書で、史学か文学寄りのため、ちょっと方向性が違うのですよね。。。とはいえ他の大学院で忍者・忍術学、とりわけ忍術や兵法の部分を指導いただけるところもないと思います。現時点では、一旦は博士課程には進学せず、仕事の方に専念して、個人的に研究活動は続けながら、いつか三重大の人文系で博士課程ができたら、または他の大学でよいご縁があったら進学することを考えたいと思っています。

 修了後は、まずは前述した小さい小さい忍者の「市場」を広げる仕組みを作ること、今従事している仕事がまさにこの部分なので、これにフォーカスしていきたいと思っています。まだ何も決まってはいませんが、その内、特定の忍者ゆかりの地に移住して、地域おこしを行うことなどの計画を進めています。この辺はまさに忍者・忍術学コースで学んだ知識や研究手法を活かした仕事になると思いますので、ひとつのロールモデルとなれるよう頑張っていきたいと思っています。

 自分は東京で、10年間ネット企業で働いてきました。いろんな新規事業なども手掛けてきて、その後忍者学を学ぶための充電期間として3年間、たくさんのことを学ばさせていただきました。やはり忍者もしくはNINJAの市場を広げていくためには、人口の減少が続き、興味関心度も低い日本だけでは限界がありますし、現在のコロナ禍の影響も考えると、忍者ショーなどのリアルのコンテンツのみでは難しい日がやってくると思います。忍者が歴史的に培ってきたソフトとしてのコンテンツ(忍者学で学べる専門的知識)と、海の向こうの人に届けられるオンラインの仕組み(ネット)を掛け合わせることで、忍者の市場を少しでも広げたい。そして忍者・忍者学コースで学んだ人が活躍できるような仕組みや箱を創れたらな、と密かな野望に燃えています!

 その前に修論が無事書き終えられるか、通るかの方が不安ですが…(笑)頑張ります!読んでくださったみなさま、どうも3年間ありがとうございました!(院生 嵩丸記)