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(学生通信)映画レビュー⑧<ニンジャVSミュータントゾンビーズ」>(2016年、監督:リロイド・リー・バーネット)(院生 郷原匠)
2020年08月04日
本日紹介する映画は、2016年に公開された「ニンジャVSミュータントゾンビーズ」という映画です。監督はリロイド・リー・バーネットさんという方です。VFX(現実には見ることのできない画面効果を実現するための技術)の鬼才と呼ばれている人物であり、「ロード・オブ・ザ・リング」や「アバター」といった超有名映画にも携わっていらっしゃったそうです。
プライムビデオによる平均評価は、★5中、★2つ半です。レビューは13件と少なめですが、「題名詐欺」「ゾンビが全然出てこない」「ドリフ的なコントとして見るべき」といった酷評ばかりで、あまり評価が高くなかったように感じます。
最初に言わせて頂きますが、この映画にゾンビはほとんど出てきません。物語の後半に少しだけ出てくるだけで、題名から想像できるような「忍者がゾンビと戦う」といった内容では全くありません。タイトル詐欺も甚だしいです。原題は「Ninja Apocalypse」で、直訳すると「忍者黙示録」や「忍者啓示」となります。なぜこのような邦題にしたのか理解に苦しみます。
人類対戦から長い年月が経ち、生き残った人々は忍者となっていました。炎を自由自在に操ることのできる「南の一族」、東の海で生き続ける「呪いの一族」、自らの妖艶さを武器に敵を惑わす「セイレーン」など、様々な種族が存在します。その中でも「破滅の一族」は、軽蔑の対象として不遇な環境下にありました。そのリーダーであるケイジ(クリスチャン・オリバー)は、ひょんなことから忍者界のトップである、マスター・フミタカ(キャリー・ヒロユキ・タガワ)に、東の寺院の地下深くで開催される「忍者平和会議」に招待されます。ケイジは4人の仲間を引き連れて会議に出席するのですが、その会議の最中、何者かによってマスター・フミタカが暗殺されます。他の出席者は口をそろえて犯人がケイジであるというのですが、ケイジは身に覚えがありません。無実の罪を着せられたケイジ達は全部族から追われる身となります。一刻も早く地下から抜け出したいケイジ達ではありますが、地上へのエレベーターは破壊されてしまいます。ケイジ達は一体どうなってしまうのでしょうか・・・。全体的にこの映画は、ケイジ達が冤罪を晴らすために各部族と戦うといった内容となっています。正直なところ、ゾンビを出す意味は全くありません。
この映画の評価すべき点は、カメラワークが秀逸で画質がものすごく良いことです。特に冒頭部分はとても印象的です。主人公達が冒険?に立ち向かっていく様子を、雄大な自然と壮大な音楽を背景に、高画質で全面的に映し出していました。これは「ダークナイト」や「インセプション」などの作品で有名な、クリストファー・ノーラン監督の作品にありそうな演出であり、このシーンだけで期待感と高揚感を一気に高めてくれます。さすがVFXの鬼才というだけあって、映像へのこだわりは半端ないものを感じました。
ストーリーについては、何度も言いますがゾンビを登場させる必要はあったのか、そしてフミタカほどの忍者の長になるくらい強い人物が、なぜいとも簡単に暗殺されてしまうのか、といったようにツッコミどころ満載でしたが、過去の忍者作品に比べればまだ許せる範囲だと思います。
アクションシーンについては、架空の手裏剣を作り出したり、急に身体から電気を発したりといったように、いかにもフィクションといった演出ではありましたが、忍者LOVEなアメリカ人のワクワク感溢れた演出といった感じで、とても微笑ましく鑑賞することができました。
ひとまずタイトルは無視して下さい。純粋な気持ちで見て下さい。そうすればきっと楽しい時間を過ごすことができるでしょう。R13指定になっておりますが、そんなにグロく過激な描写もないので、比較的誰でも楽しめると思います。
以上で今回のレビューを終わります。次回は「レディ・アサシン 美人計」(2016年、監督:グエン・クアン・ユン)をレビューしたいと思います! (院生 郷原記)