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(学生通信)現代版火薬免許試験に挑んでみた!②(院生 仙空)
2021年04月09日
こんにちは、仙空です。
前回、忍たま乱太郎の火薬免許試験のお話をしました。今回はタイトルにある「現代版」火薬免許試験についてお話します。
私は忍たま乱太郎に登場する6年生の立花仙蔵が大好きなのですが、彼が得意としているのが火器火薬です。火器火薬を扱わせれば忍術学園No.1と謡われています。私は仙様(立花仙蔵)の世界を知りたいので、火器火薬のことも知りたいのです。落第忍者乱太郎56巻で火薬免許試験の存在を知り、仙様が免許保有者であることを知ってから、火薬免許試験が気になっていました。そして、現代日本にも火薬免許試験に似ていそうな国家資格があることを知ったのです(アニメ、漫画共に火薬免許試験の筆記試験の詳細は明かされていないので、似ていそう、というのはあくまで私の憶測です)。
それは火薬類取扱保安責任者試験です。火薬庫の所有者または占有者、1消費場所で1か月25kg以上の火薬または爆薬を消費する者は火薬類取扱保安責任者を選任することが火薬類取締法で義務付けられています。火薬類取扱保安責任者試験の合格者は、この火薬類取扱保安責任者等の選任資格とともに発破技師と同様の発破作業もできる法的な資格が得られます。さらに、合格者は陸上自衛隊・海上自衛隊・航空自衛隊の技術陸曹・海曹・空曹の任用資格があります。火薬類取扱保安責任者の業務は火薬類の消費と貯蔵に係る指揮・監督、消費量のチェック等。合格者は産業火薬店、採石場、土木会社、火薬製造会社等に就職するケースが多いようです。
試験は甲種と乙種に分かれており、甲種の方が取り扱える火薬の量が多いです。試験は火薬類取締に関する法令(以下、「法令」)と一般火薬学の2科目。2科目ともに20問のマークシート方式の出題で、試験時間は2時間。合格基準は法令と一般火薬学の両方で12問(60点)以上の正答です。甲種の直近5年の合格率は54.7%。火薬のことを知るには程よい試験だと思いませんか?私は思いました笑。なので2020年12月に火薬類取扱保安責任者試験甲種を受験しました。
法令は火薬庫や火薬類の消費・譲渡・運搬等に関する出題で、法律についての問題なので暗記科目。一般火薬学は火薬爆薬発破の特性、感度試験等の出題で、計算問題もありますが、パターン化されているので暗記色が強いです。私は一応理系でしたが、頭の作りは完全に文系なので、がっつり計算の試験ではなくて良かったです。実際にどんな問題が出題されるか法令と一般火薬学から1問ずつご紹介しましょう。公益社団法人全国火薬類保安協会に私が受験した令和2年度の試験問題が公表されています。
令和2年度 甲種 火薬類取締に関する法令 問12
周囲に土堤を設けない地上式二級火薬庫に、ダイナマイト7トンおよび導爆線50キロメートルを貯蔵する場合、当該火薬庫から鉄道(旅客用)に対してとらなければならない保安距離は、最低何メートル必要か。(1)~(6)の中から選べ。
なお、地上式二級火薬庫の周囲に土堤(土堤の高さは火薬庫の屋頂と同一とする。)を設けた場合の貯蔵量、保安物件の種類および保安距離の関係は次の表のとおりとする。
法令なのに計算問題?と思われるかもしれませんが、計算は簡単な足し算と掛け算だけです。この問題で正答するには、以下のようなステップを踏むと思います。
① 貯蔵する爆薬以外の火薬類の貯蔵量を爆薬の数量に換算。
ダイナマイトは爆薬、導爆線は爆薬以外の火薬類に該当。
導爆線は50㎞で爆薬1トンに換算。
⇒火薬庫の貯蔵量は7トン(ダイナマイト)+1トン(導爆線)=8トン
② 保安物件(旅客用の鉄道)の種類を特定。
⇒鉄道は第三種保安物件。
③ 与えられた表から8トンの第三種保安物件に該当する160メートルを選択。
④ 土堤を設けない二級火薬庫の保安距離は規定の2倍の距離が必要。
⇒160メートル×2=320メートル(答え!)
暗記が必要なのは爆薬以外の火薬類の爆薬換算の数量、保安物件の種類、土堤を設けない二級火薬庫の保安距離は2倍になる点ですかね。私はこの問題を解いたときは②の段階で迷いました。鉄道が第三種保安物件になるということは覚えていたのですが、括弧書きの旅客用というのが気になりました。旅客鉄道と貨物鉄道で保安物件の種類が変わるかどうか知らなかったのです。保安物件は第一種から第四種まで分かれていて、人が多くいて、より守りたい物件ほど小さい数字になります。例えば、学校や病院、市街地の家屋は第一種保安物件で、国道は第四種保安物件です。旅客用鉄道だともしかすると第三種保安物件から1ランク上がって第二種になる可能性があるのかも?と悩んだのですよね。それでも一応第三種保安物件と推定して答えたので、正答できました。試験後、火薬類取締法施行規則を見ましたが、「鉄道」としか書かれておらず、旅客と貨物で扱いを分けるということはなさそうです。受験生を惑わすちょこっと意地悪な問題ですね。次は一般火薬学を見てみましょう。
令和2年度 甲種 一般火薬学 問17
発破についての次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。(1)~(6)の中から選べ。
イ.含水爆薬は死圧現象を起こさせないので、せん(穿)孔間隔の狭い発破に適している。
ロ.サブドリングは、ベンチ発破の根切りを良くし、ベンチフロアをそろ(揃)えるために有効な方法である。
ハ.スムースブラスティングでは、装薬孔にできるだけ密装填するのがよい。
ニ.ベンチ発破において、掘削の最終仕上げ予定線上に0.5~1m程度の狭い間隔で発破孔を設け、主発破に関だってこれらの孔を発破して孔間に亀裂を作っておく発破方法をプレスプリッティング発破という。
(1)イ、ロ (2)イ、ハ (3)イ、二 (4)ロ、ハ (5)ロ、ニ (6)ハ、二
こちら発破についての出題で、答えは(5)です。純粋な暗記で対応できますね。
この試験のイメージは伝わったでしょうか?続きはまた次回。
サラダバー!(院生 仙空記)