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(エッセイ)忍者を体験すること(吉丸雄哉)
2021年05月10日
2021年5月3日4日に、上野市駅前で行われる伊賀之忍砦祭にも協力していただいて、伊賀忍者活劇体験をハイトピア伊賀で行う予定だったが、このような状況なので4月21日に決定が中止した。4月下旬から現在に至って感染増加のピークを迎えておらず、結果的にはよい判断だったと思う。4月18日にテストプレイを済ませて準備していたので残念だが、状況がよくなれば是非とも再開したいと思っている。
今年度のブログを見ればわかるだろうが、河村昌樹さんという大学院生が加わっている。忍者学コースの大学院生は多士済々だが、野外活動で忍者忍術の体験を実施してきた社会人大学院生である。
伊賀忍者活劇体験(忍者LARP)は、欧米で遊ばれてきたLive Action Role Play の日本版、忍者版である。体験としては、アミューズメント寄りである。レジャー施設で行われるアトラクションに近いもので、参加しやすく、楽しみやすいことを目指している。ただ、芸術・政治的な教育に使われるノルディックLARPがあるように、何かを演じて体験することで学んでいく要素があればとよいと思っている。その点で演劇的ワークショップに近い面もある。
河村さんにうかがっている忍者体験は野外で行われるレクリエーションである。もう20年以上行われてきたそうなので、関西で体験した方もいるかもしれない。身体的な忍者修行や忍術書にあるような合言葉合図をつかった活動、絵図づくりや夜道の心得に天体観測など、忍術書にある忍者の知恵を体験する内容になっているそうである。
どちらも忍者を体験することで、何かを学んでいく面があるが、こちらのほうが教育重視といえよう。忍者の体験はさまざまだと感心する。本格的な忍術修行では、日本忍者協議会が実施している「忍道 -NINDO-」( http://nin-do.jp/)がある。こちらはアミューズメントでもなく、レクリエーションでもない。軽い忍者体験といえば、手裏剣打ちや忍者装束への変身もあるだろう。こういった忍者体験の間口の広さや多様さは、日本における忍者文化の豊かさを示すものである。
私は大学院入試の面接に関わっていなかったので、河村さんの研究計画をよく知らなかった。入学後に直接会ったあとも何を研究するのかよく知らなかったのだが、だんだんわかってきて面白がっている。研究分野としては「レジャー・レクリエーション」だろう。日本レジャー・レクリエーション学会があるぐらいで、きちんと学問として成立している。私はこの学問分野をよく知らなかったのだが、河村さんが研究することによって、レジャー・レクリエーション学について、また忍者の新たな面を私も学ぶことができると楽しみにしている。(吉丸記)