国際忍者研究センター

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(学生通信)映画レビュー㉞「アサシンクリード」<2016年、監督:ジャスティン・カーゼル>(院生 郷原匠)

2021年05月19日

 本日紹介する映画は、2016年に公開された「アサシンクリード」というアメリカ映画です。監督のジャスティン・カーゼル氏は、オーストラリア出身の監督で、「マクベス」(2015年)、「トゥルー・ヒストリー・オブ・ザ・ケリー・ギャング」(2019年)といった映画を撮られており、2011年、「Snowtown」という映画が、オーストラリアテレビ芸術アカデミー賞監督賞を受賞しました。

 プライムビデオでの平均評価は、★5中、★3と微妙な評価でした。レビュー自体は大量に寄せられているものの、ほとんどが酷評でした。「意味不明」「見るよりもゲームでプレイした方が良い」「残念!」といった内容ばかりで悲しくなりました。

 それもそのはず、今回の作品は、ユービーアイソフトのゲームソフト「アサシン クリード」を原案としたSFアクション映画だからです。私は実際にプレイしたことがないので分かりませんが、世界中で遊ばれている人気の高いゲームだそうです。ゲームを原案とした映画で大失敗した例は、「スーパーマリオ 魔界帝国の女神」(アメリカ、監督:ロッキー・モートン他、1993年)や「ストリートファイター」(アメリカ、監督:スティーヴン・E・デ・スーザ、1994年)などたくさんありますが、今回のアサシンクリードも失敗例の一つとして名が刻まれてしまうのでしょうか。

 15世紀のスペイン。勢力を誇っていたテンプル騎士団は、平和な世の中を作るために「エデンの林檎」という伝説の果実を探し求めていました。それに対抗していたのがアサシン教団と呼ばれる暗殺部隊です。そして時は過ぎ、1986年のメキシコ。少年カラムはアサシン教団の装束をまとった父親に、母親を殺されるという悲惨な体験をします。30年後の2016年。成人したカラム(マイケル・ファスベンダー)は、殺人を犯し、死刑が執行されました。死んだはずのカラムですが、目を覚ますとなぜかスペインの矯正施設にいました。そこでソフィア・リッキン博士(マリオン・コティヤール)に出会い、15世紀に生きる最強のアサシン、「アギラール」の半生を追体験し、エデンの林檎を手に入れるよう促されます。何が何だか分からないカラムでしたが、「アニムス」と呼ばれる遺伝子記憶再現装置を強制的に取り付けられてしまいます・・・。以上、ストーリーの前半をご紹介しました。

 個人的に驚いたのは、フランスの女優、マリオン・コティヤールが出演していたことです。彼女はクリストファーノーラン監督作品「インセプション」(2010年)や「ダークナイトライジング」(2012年)に出演した超大物女優で、2013年には、「世界で最も美しい顔」1位に選ばれるなど、フランス映画界のスーパースターであります。そのため今回の出演には本当に驚きました。

 当初はこの作品を忍者映画のカテゴリーに入れるかどうか迷いましたが、アサシン教団の暗殺部隊が、忍者のような黒装束をまとっていること、俊敏な動きで相手を追い詰めることなどを考慮して、今回選ばせて頂きました。アクションシーンは素晴らしいので、海外版忍者と思ってお楽しみ頂ければと思います。ちなみに諸説ありますが、「アサシン」という言葉はイスラムの言葉が語源だそうで、暗殺という意味のほかに、大麻や原理といった意味も込められているそうです。

 本作の大きな特徴は、主人公が現代にいながら、取り付けられた装置を介して中世ヨーロッパの世界に入り込み、テンプル騎士団と戦いを繰り広げるということです。つまり主人公が壮大なVRゲームをやっている姿を我々は見ているわけです。これはレビューの中にも、「全く感情移入できない」「ただのゲームじゃん」といったように、不満が多く寄せられていました。私も同意見です。バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3のように、過去に実際にタイムスリップして戦う方が絶対に盛り上がったと思います。

 ストーリー自体もどこか腑に落ちないというか、よく分からない箇所が多々ありました。見終わった後も全くスッキリしませんでした。その一方でCG技術はかなり高く、実際に映画館で観たら、中世ヨーロッパの世界を存分に体験することができるだろうと感じました。CGの豪華さでストーリーをごまかしているといった批判もできるでしょう。次回作があるかどうか分かりませんが、次回作は脚本をもう少ししっかりさせて、欲をいえば、日本の忍者とコラボした作品を見てみたいです。

 以上で今回のレビューを終わります。次回は「NINJA GIRLS おっぱい帝国の逆襲」(2010年、監督:遊法仁)をレビューしたいと思います!(院生 郷原記)