国際忍者研究センター

三重大学では、伊賀地域の発展のために、
忍者の歴史や文化を研究し、その成果を発信しています。

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(学生通信)キャンプ流忍術修行⑧(院生 河村昌樹)

2021年06月26日

 前回はウルシの仲間の触るとダメな植物について書きましたが、今回は食べるとダメな植物の毒について書きます。
 食べるとダメな植物は、山の中だけでなく身近にもたくさんあります。例えば、キョウチクトウやスイセン、キダチチョウセンアサガオ(エンジェルトランペット)、レンゲツツジ等の植物です。
 身近な植物毒は子どもたちが誤って食べないか心配です。今はしなくなったかも知れませんが、私が子どもの頃は蜜吸をする事がありました。私は幸いな事にサルビアの花しか蜜吸をしていなかったので大丈夫でしたが、レンゲツツジと他のツツジの判定は難しく危険です。
 私の勤務する施設周辺では、アセビ(アシビ)、エゴノキ、コブシ、ヒガンバナ、マムシグサ等の有毒植物があります。
 かぶれる植物と違い、当施設を利用する方には、許可なく植物等の採集はご遠慮いただいており、一番事故の多い山菜採りは出来ないので心配はありません。毒があってもアセビ、エゴノキ、コブシ等はとてもきれいな花を咲かせますので、特に何もしておりません。
 ただ、マムシグサは秋にトウモロコシのような実をつけます。これを食べた事故事例を新聞で見たことがあるので注意が必要だと思っています。
 実はマムシグサについては、若い失敗をしました。その失敗は、マムシグサに毒が有る事を知っていましたが、秋にトウモロコシのような実ができる事までは知らず、茎を少しかじった事があります。ほんの少量でしたが口の中に汁が入った瞬間、すぐに毒とわかり全て吐き出しましたが・・・ その後、唇と舌は半日間しびれていました。生まれて初めて毒の恐ろしさを経験しました。 植松黎さんの「毒草の誘惑」には、そんなマムシグサも毒抜きの方法があって、水さらしすればデンプンをとることが出来ると書かれています。私も有毒植物の水さらしについては大学の時、一般教養ゼミ実習でヒガンバナの球根からデンプンとる実習をしたことがありました。 その時は一週間かけて水さらししたデンプンを煎餅にして焼いて食べました。 
ヒガンバナの水さらしは飢饉の時などに食べられた方法ですが、昔の人の知恵は本当に偉いと思います。それにひきかえ、自分の浅はかさが情けなく思いました。
 先輩から植物は花だけでなく、それ以外の特徴も覚えていないからそんなことになると言われましたが・・・ 正しくそのとおりだと思いました。
 昔、テレビ時代劇の「子連れ狼」で、お毒味役のトレーニングに毒を少しずつ食べて覚えていくシーンを見ましたが、忍者も毒を研究し、そこから薬も作っていたと思います。
 毒草は危険で有る事に間違いありませんが、危険=遠ざけるだけでなく、しっかりと観察研究することで、食用や薬として役立てる事が出来るかも知れません。リスクマネジメントの考えの一つに安全限界を広げると言う事があります。
 経験をしながら少しずつ技術や知識を得、今まで危険だったことが安全に出来るようになることです。
 忍者が活躍していた頃の毒の研究も、trial and errorを重ねながら安全限界を広げ、解明したと考えられます。 
植物毒については植松黎さんの「毒草の誘惑」「毒草を食べてみた」をお読み頂くと良いかと思います。
 毒についてはまだまだ事例があって、蛇やキノコの毒についてもいずれ書きたいと思います。
 次回は梅雨の生き物について書きたいと思います。(院生 河村昌樹記)