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(学生通信)映画レビュー60「龍の忍者 NINJA IN THE DRAGON’S DEN」 <1982年、監督:ユン・ケイ>(院生 郷原匠)
2022年02月12日
本日紹介する映画は、1982年に公開された「龍の忍者 NINJA IN THE DRAGON’S DEN」
という香港映画です。監督のユン・ケイ氏は、香港出身の映画監督で、この他にも「七小福」(1988年)や「格闘飛龍 方世玉」(1993年)といった作品を撮られています。
プライムビデオの平均評価は、★5中、★4と、なかなか高い評価でした。レビューとしては「キレのよいアクション」「古い香港映画が好きなら一度は見るべき」「最高!」など、褒め称える感想が多く、酷評については「忍者をなめている」といったくらいで、ほとんど見当たりませんでした。
江戸時代、凄腕の伊賀忍者として徳川家に仕えていた玄武(真田広之)は、父の仇敵である福佐(田中浩)が中国へ渡ったことを聞き、妻(津島要)と共に現地へ向かいます。その頃、福佐は銅鏡磨きの職人として、皆から「福爺」と呼ばれ、尊敬される存在でした。そんな福爺のもとには、ジン(コナン・リー)という青年がいました。彼はカンフーの達人であり、バトルイベントがあればすぐに出向き、どんな相手でも蹴散らしてしまうほどの腕前でした。そんな中、玄武が福爺の居場所を発見し、彼を暗殺すべく襲い掛かります。ちょうどそこにジンがいたため、彼は得意のカンフーを活かして玄武と闘います。このままでは埒が明かないと思った玄武は、福爺の仕事場を一旦爆破して消えてしまいます。ジンは福爺を護衛すべく、自らの自宅にかくまい、玄武の夜襲に備えます。案の上、玄武は夜襲を仕掛けてきました。ジンもトラップを備え、互いの攻防戦が始まるのでした・・・。以上、ストーリーの前半をご紹介しました。
今回は中国が舞台で、「忍者VSカンフーの達人」という構図です。カンフーの本場、香港で制作されただけあって、桁違いにキレのあるアクションを楽しむことができました。ジンは目にも止まらぬ速さの体術を扱い、玄武を苦しめます。一方の真田広之氏演じる伊賀忍者・玄武も、素早いアクションを駆使してジンを翻弄します。忍者らしく、手裏剣や爆弾、煙幕弾を用いることもありました。
アクションは素晴らしいのですが、脚本に少し欠陥がありました。時代設定が江戸時代にもかかわらず、地図に「東京」(当時は江戸)と「中国」(当時は清)の文字が登場する点、玄武はどうやって福爺の居場所を特定したのか、そもそも福爺はなぜ中国に逃亡したのかなど、あらゆることが謎のまま終わりました。アクションを楽しむ映画なのでしょうが、もう少ししっかりと脚本を練ってほしいです。
今回は香港制作の忍者映画でしたが、香港映画と忍者を語る上で、「ブルース・リー」の存在は無視することはできません。ブルース・リーは、世界的名作「燃えよドラゴン」の主演俳優として有名ですが、この映画を元にして「燃えよNINJA」(1981年、監督:メナヘム・ゴーラン)という映画が作られました。この作品については以前レビューさせて頂きましたのでご興味があればぜひご覧ください。「燃えよNINJA」に登場する忍者の中でも特に人気なのが、ショー・コスギ演じる黒忍者です。彼は、体術のほかにヌンチャクなどの武器も扱います。まるでブルース・リーのようです。この作品がきっかけで、世界にNINJAブームが巻き起こりました。もしブルース・リーがいなければ、「NINJA」が国際語になることはなかったと思います。香港が生んだスーパースターは、永遠に忍者史に刻み込まれることでしょう。
話がそれましたが、とにかくキレッキレのアクションを楽しみたい!という方には、とても満足できる内容となっていますので、ご興味のある方は、ぜひご鑑賞下さい。
以上で今回のレビューを終わります。次回は「忍者大戦」(1987年、監督:ロバート・タイ)をレビューしたいと思います!(院生 郷原記)