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(学生通信)『忍者と玉秀斎 その7』 (院生 四代目・玉田玉秀斎)
2022年07月26日
先代・玉秀斎の凄さの源泉は「忍者」にある。
それがわかってくると、行く先々の高座のマクラ(本題に入る前に少し話し、お客様の雰囲気を掴んだり、本編をもっとお楽しみ頂けるように予備知識をお伝えしたりする)で先代・玉秀斎の凄さを物語るようになる。
「皆さんがご存じの真田十勇士の『猿飛佐助』。これを世に広めたのは先代・玉秀斎なんです。凄いでしょう。立川文庫という200巻ぐらい世に出されたシリーズの1つとして『猿飛佐助』は出版されたんですが、これが200万部ぐらい売れたとか。当時の人口が約4000万人ですから、20人の1人が読んでいたと言われています。『講談師 見てきたような 嘘をいい』と昔から言いますから、話半分に聞いて下さいね。ただ、この立川文庫を読んで、後に偉くなった方が沢山いらっしゃいます。例えば、川端康成さん、湯川秀樹さんです。2人の共通項はノーベル賞受賞者なんです。昔は『立川文庫を読むとノーベル賞が取れる』と言われたんです」
これを話すといわゆる「掴みはOK」というやつで、本編がとても話やすくなる。
素晴らしい業績を残された先代がいるのは本当に有難い。
「でも、なぜ忍者の世界で玉秀斎に興味を持つ方がそんなに多いんだろう」
そんな疑問が湧いてきた。
玉秀斎を襲名してから起こった新しい出来事は次のようなものだ。
・忍術の継承者から連絡を頂いた。
・くノ一で町おこしをされているとお会いした。
・外国人が講談会に突然現れた。
・忍術のお稽古を目の前で見せて頂いた。
そして、更に付け加えるのなら、お客様が忍者のグッズを下さることが増えた。
忍者の手拭、忍者のクリアファイル、忍者の飴など、殆どが世の中のイメージする忍者モノで、黒装束を着込み背中には忍者刀、手裏剣がどこかに描かれているというやつだ。
そんな頂き物のなかで冊子『忍者の教科書1』『忍者の教科書2』というのがあった。
「忍者に教科書があるのか?」
そんな思いでページをめくっていくと、世間で流布している忍者のイメージとは違う『忍びの世界』が書かれていた。本の中には『立川文庫』『猿飛佐助』『玉田玉秀斎』そして、『三重大学』というキーワードがでてきた。
「教科書に取り上げられるという事は基礎中の基礎ということ。その中に立川文庫や猿飛佐助、玉田玉秀斎が取り上げられるということは、思っているよりも玉秀斎と忍者は近い関係なんだなぁ…。三重大学で忍者を専門的に勉強できるのか…」
三重大学の事が気になり始めた。(院生 四代目・玉田玉秀斎記)