国際忍者研究センター

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(学生通信)映画レビュー⑩「ニンジャ・チアリーダー」<2008年、監督:デヴィッド・プレスリー>(院生 郷原匠)

2020年08月27日

 本日紹介する映画は、2008年に公開された「ニンジャ・チアリーダー」という映画です。2002年に「チアリーダー忍者」という作品も公開されているそうですが、それとは全く無関係です。監督はデヴィッド・プレスリーさんという方で、過去の作品について調べてみましたが、全く検索にあがってこなかったので、もしかしたらこの映画が初作品の可能性があります。

 プライムビデオによる平均評価はまだつけられておりません。レビューも0件で、今後どんなレビューが掲載されるかとても楽しみです。ネット上の感想によれば、「主人公3人組の魅力がすごい」「お色気ムンムン」といった、主人公を褒めるものが多く、その一方で「忍者要素ゼロ」「全てが中途半端」「ギリギリの作品」といった酷評レビューも一定数見受けられました。

 主人公は短期大学に通う、エイプリル(ジニー・ウェイリック)、コートニー(トリシェル・カナテッラ)、モニカ(メイトランド・マクコーネル)の3人組。彼女達は完璧なスタイルと美貌を兼ね備えており、昼間はチアリーダーとして活躍し、夜はストリップバーで学費稼ぎのアルバイトをしています。またヒロシ先生(ジョージ・タケイ)の指導の下で、忍術も習っています。彼女達は忍者としてこれまでに数々の難事件を解決しており、その実力はかなり高いです。そんなある日、ヒロシ先生が謎の組織に誘拐されてしまいます。エイプリル達は先生を救出するために立ち上がるのですが、その先々で様々なハプニングに出会います・・・。このように「チアリーダーだけど実は忍者である」といったような一風変わった内容となっております。これまでにも様々な題材で忍者映画が作られてきましたが、今回の作品は、それらの中でも群を抜いてユーモアあふれるものとなっております。

 全体的にこの作品はセクシービデオ要素があります。特にストリップバーの場面では、露出の多い衣装を身にまとい生足をクネクネさせるといった、明らかに男性が喜びそうな演出で、忍者要素はゼロでありました。多くの批判がありそうですが私はとても好きな演出です。

 ネット上のレビューにもありましたが、この映画は主人公3人組の魅力によってほぼ成り立っているといっても過言ではありません。クールで正義感の強いエイプリル、頭脳明晰なコートニー、天然でお茶目なモニカ、それぞれの個性が上手く調和されて、最強の3人組の印象を抱かせます。世界中で大ヒットした超名作インド映画「きっと、うまくいく」(2009年、監督:ラージクマール・ヒラニ)を観て頂ければ分かるのですが、主人公を複数人にする場合、それぞれの共通点や個性を上手く出さないといけないため、非常に難しい演出となってきます。しかしこの映画は監督の技量が優れていたのか、3人とも本当に魅力的に描かれていました。

 そのため個人的には黒装束を着てほしくなかったです。彼女達は任務の時は黒装束を着て、いかにも忍者という感じを出すのですが、ここで個性が全て失われてしまっているのです。誰が攻撃しているのか、誰がダメージを受けているのかが全く分からず、混乱することも多々ありました。どうせ忍者衣装を着るなら、色を分けるかして、誰なのかすぐに分かるようにして欲しかったです。

 一番の問題点は、映画の最後に「キンジ」という謎の女忍者と戦うのですが、このシーンが異常に地味であることです。これといったアクションシーンもなく、ただ剣でパンパン打ち合っているだけなので、面白みに欠けておりました。ラストシーンなので、もう少しCGなどを使って派手なシーンにするべきだったと思います。

 しかし、全体的には良い意味で奇をてらった作品であり、B級映画としては満点であるように感じます。2002年の「チアガール忍者」も時間がある時に鑑賞し、今回の作品と比較してみても面白いのかなと感じました。

 以上で今回のレビューを終わります。次回は「ミュータント・タートルズ」(2014年、監督:ジョナサン・リーベスマン)をレビューしたいと思います!(院生 郷原記)