国際忍者研究センター

三重大学では、伊賀地域の発展のために、
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(学生通信)「万川集海」に書いてある「仁、義、忠、信」について①(院生 リトクヨウ)

2020年10月16日

 みんなさん、お久しぶりです、三重大学忍者研究院生一年のリトクヨウです。夏休みが終わり、いよいよ新学期が先週の木曜日から始まりました。研究はまだまだですが、頑張ります。今回から、「万川集海」に書いてある『正心』について、また『正心』と中国の道、儒、佛の思想との関わり、また似ている部分を詳しく分析しようと思います。分析が浅いですが、できる限り頑張ります。どうぞよろしくお願いします。
 今回、『正心』では主に主張された「仁、義、忠、信」について簡単に説明します。「万川集海」では「正心」について、「巻第二・正心・第一」、「巻第三正心・第二」この二つの部分には書いてあります。「仁、義、忠、信」が強調されたのは「巻第二・正心・第一」です。
正心とは:
①仁:温和慈愛の道理を踏まえて心穏やかに包容力を以て何者にも和(なご)し、憐れみや恵みある心で接することをいう。人の恩を忘れず、親孝行するのも仁心である。
②義:断制裁割(だんせいさいかつ)の道理である。
③忠:仕えた主君に余すことなく誠意を尽くすこと、すなわち命や家族友人を失っても、忠節を尽くすことである。
④信:行動や思想の全てが真実誠であり、偽りや二心などは少しもないことをいう。
 そして、信は以上の仁、義、忠の根本であり、信がなければ仁義忠にならないと述べています。この「仁、義、忠、信」とは 実は中国の儒教に主張された「仁、義、礼、智、信」と多少似ています、これについての分析は今度しますが、ここでは気になったのは正心・第一の終わりに書いてある知伯と趙盾のストーリーです。
 この物語は知伯の臣下である程桜と杵臼が主君のために命を捨てても忠信を尽くすと謳いますが、この物語は恐らく中国元の時代で作られた雑劇(ざつげき)である(中国の古典的な演劇である戯曲形式の一つ)「趙氏孤児」(ちょうしこじ)を原本として書かれたと推測できる。但し、「趙氏孤児」は真実な歴史ではない。作られた悲劇話である。
 また韓信の股下の辱をも書かれたのですが、これが司馬遷『史記』「淮陰侯列伝」にかいてあり、事実だと思われます。
「万川集海」を読んだら、中国の物語、兵法書など沢山出てきます、ですから、忍者は確かに古代中国にある思想と関わっています、私も引き続き、このかかわりについて、研究しようと思います。
今度は忍者の「仁、義、忠、信」と中国儒教の「仁、義、礼、智、信」の異同について、書きます。どうぞよろしくお願いします。(院生 リトクヨウ記)