国際忍者研究センター

三重大学では、伊賀地域の発展のために、
忍者の歴史や文化を研究し、その成果を発信しています。

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(エッセイ)2020年度後期大学院授業の終了(吉丸雄哉)

2021年01月28日

 1月28日(木)で後期の大学院の授業が終了した。授業期間は2月3日まであるが、木曜日の授業は28日で最後である。忍者学コースが始まってこれで3年度分の授業を行ったことになる。忍者学は手探りで教えてきて、そのつど学生の関心やレベルに応じた授業をやってきたが、今後はある程度決まったことをやっていくつもりである。
 まず、今後はくずし字は教えないことにする。くずし字読解の能力は忍者研究に必須だが、そこまで私には手が回らず、またこの道のベテラン高尾先生が別に教えてくれているからである。
 次に忍術書をよく読むことにする。『万川集海』『正忍記』『忍秘伝』『用間加条伝目口義』といった忍術書はまず熟読してどこになにが書いてあるのかすぐに出てこないようでは議論ができない。一斉に同じところを読んで、それぞれ(私も含む)レジュメを作って報告することで、忍術への理解を深めてもらう。それができたら、『軍法侍用集』『訓閲集』『武教全書』といった兵学書をみて、忍びの術が兵学のなかでどういった位置を占めるのかを学ぶ。また、軍記から真偽に注意しつつ、忍びはたらきの用例を覚えていくのがよいだろう。これは山田先生もやっているが、山田先生は精読なので私のほうはとにかく数を読んで知識を増やしていくようにしたい。忍者関係の古文書を読む必要もあるが、これは高尾先生にお任せしようと思う。
 あと、最終的に修士論文が書けるように、個々の研究を進めていく手助けをすることである。これは基本は国文学の学生に指導しているのと同じで、読んだ本・論文とこれから読むつもりの本・論文「読書ノート」を作ってもらい、それが集積してきてから研究発表を学内外でしてもらうことである。「読書ノート」の内容はおよそ月に1回ずつのペースで報告してもらう。たいへんなようだが、他の先生の指導と共通しているので、作成は難しくないだろう。
 国文学の教育からくずし字と書誌学をとりのぞいた感じだが、週1コマの担当ならこのぐらいが適当だろう。
 なお、ブログの執筆課題は続けるつもりである。あと一回りぐらいして、しばらく学生ブログは(意欲のある人を除いて)お休みになるが、来年度の学生の執筆を楽しみにしていて欲しい。(吉丸記)