国際忍者研究センター

三重大学では、伊賀地域の発展のために、
忍者の歴史や文化を研究し、その成果を発信しています。

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(エッセイ/紹介) 佐藤強志『驚愕! リアル忍者大事典』(吉丸雄哉)

2021年02月03日

 著者の佐藤強志さんから『驚愕! リアル忍者大事典 ~実在した忍者と秘密忍具のすべて』(辰巳出版、2021)を頂戴しました。Facebookで情報を得ていて、そのときは忍者事典なんて『歴史読本』とかの定番の企画で編集上手の佐藤強志さんにしては平凡な本を作るなあと内心思っていたのですが、さきほど原物を頂戴して驚きました。最近の忍者研究に登場する忍びたちが収録されています。筆頭の吉田十右衛門は『忍者研究』3の上田哲也論文で紹介されたものですし、3番目の木村奥之助は最近の甲賀の研究で見直されたもの。19番目の田原安右衛門は深川直也先生が、28番目の服部長門守康成・29番目杉山八兵衛・30番中川小隼人・31番三上忠蔵は清川繁人先生が、国際忍者学会嬉野大会で紹介した忍びです。26番目の井原頼文は『忍者研究』1の長野栄俊論文で紹介されています。もちろん過去にまったく言及がなかった忍びは少ないですが、こうやった大きくとりあげて事蹟をまとめたのは意味があります。
 兵糧丸作り、手裏剣作りなど実践の入った忍者指令も面白く、末尾には全国忍者施設情報が入っています。これは私が関わった『忍者文芸研究読本』(笠間書院、2014)でもやったのですが(企画は編集のNさんが提案した)、それから忍者施設もいっぱい増えましたからありがたいです。コロナが収まったらいろいろとまわりたいです。
カラーも多いですが、税別909円でルビもたいへん多めです。これで新しい忍者ファンが増えることを願います。大人の方も子ども向けの本だと思わずに、是非お求めのほどお勧めします。(吉丸記)