国際忍者研究センター

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(学生通信)忍たまファン第二の聖地になるかも?「ふくやま草戸千軒ミュージアム」⑧(院生 仙空)

2021年07月01日

 忍たまファン第二の聖地になるかも?「ふくやま草戸千軒ミュージアム」⑧

 こんにちは、仙空です。
 ふくやま草戸千軒ミュージアムの遺物展示の中から忍たまゆかりの物を紹介します^^

 今回は五輪塔(ごりんとう)!
 日本国語大辞典では五輪卒都婆(ごりんそとば)=五輪塔として、次のように書かれています。
 卒塔婆の一つ。平安中期ごろ密教で創始された塔形で、石などで五つの部分につくったもの。方・円・三角・半月・団(如意珠=にょいしゅ)の五つの形をつくり、それを、それぞれ地・水・火・風・空の五輪(五大)にあて、下から積みあげた形のもの。多くはその表面に五大の種子(しゅじ)、すなわち梵字(ぼんじ)を刻む。これはもと大日法身の形相を表示したもの。鎌倉期以後は各宗でも用い、堂宇の落成、仏像の開眼などの供養塔婆とし、また、碑ともした。五輪塔。五輪の石。五輪の石塔。

(日本国語大辞典「五輪卒塔婆」図版)

 五輪塔は忍たまにちょこちょこ出てきます。
 詳しい説明があるのは落第忍者乱太郎54巻、アニメ第23シリーズ第31話「逆さまの呪力の段」だと思います。
 お城の石垣に五輪塔の地輪(一番下の段)が逆さまの状態で埋め込まれているのを忍たまの1年生達は見つけます。
 石垣に墓石を使っちゃうなんて石垣を作る時に石が足りなくて困っていたのかな…と訝しく思います。
 けれど頭のないお地蔵様も逆さまの状態で石垣に埋め込まれていることを浜守一郎(13歳。後に忍術学園4年ろ組に編入)は指摘し、このような説明をします。

 いいかい?
 どこの城でも多かれ少なかれ石垣の中に墓石とか五輪塔などの石が使われている。
 しかもそのほとんどが逆さに積まれているんだ。
 逆さまなるものに霊異の力を認める事は古来よりの伝統的発想なのだ。

 つまり、この逆さまの五輪塔は不吉な物の逆転で、城や石垣を守るための呪(まじな)いだったのです。
 そして、逆さまのものと言えば逆柱、逆さ燻べ、逆さ水、逆さ屏風、逆さ着物等不吉な事が多いね、と話す忍たまとドクたま(ドクタケ忍術教室の生徒)に対して守一郎は夜着を逆さまにして寝ることを例に挙げ、不吉な事というより『逆さま』には不可思議な霊威というか恐るべき呪力があるのだと伝えます。

 その五輪塔の現物が展示されています。
 現物には梵字が元々刻まれていないのか、刻まれていたけど劣化してしまったのかは分かりませんが、梵字は読み取れません。
 けれど実物大復原コーナーの御堂の傍の墓地に五輪塔があり、その五輪塔には梵字が刻まれています。
 ちなみに、この墓地は飢餓草子を参考に作られているようです。

 守一郎ファンの方は彼が熱心に説明した五輪塔を是非現地で見てみてください^^
 それではサラダバー!(院生 仙空記)