国際忍者研究センター

三重大学では、伊賀地域の発展のために、
忍者の歴史や文化を研究し、その成果を発信しています。

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(エッセイ)「忍者研究4号」のレポジトリ登録(吉丸雄哉)

2022年09月02日

「忍者研究」5号誌の発行にともなって、4号誌の電子版がJ-Stageに登録されました。
 ご興味のある方は、
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/-char/ja/

 に行って、「忍者研究」でご検索ください。
 紙版は300部しか刷っていないのですが、電子版にたくさんのアクセスあります。最近だと2022年6月にNHKの歴史探偵で「戦国の忍び」という特集があったせいか、同名の平山優先生の論文「戦国時代の忍びの実像」にひと月で1834件のアクセスありました。
 発行1年でレポジトリに公開してしまうのはもったいない気もするのですが、査読誌でもレポジトリ公開していなかったりすると、世間への影響力がレポジトリ公開される紀要以下になってしまうので仕方ないです。実際に私の専門の近世文学では、トップ雑誌の『近世文藝』が最新号が発行される半年ごとに前号をレポジトリ公開しているのはとても助かっていますので。
 4号誌の福島嵩仁「「万川集海」の伝本研究と成立・流布に関する考察」が公開された意義は大きいです。国際忍者学会会員は4号誌を読んでいるので、その凄さは理解していたと思いますが、その他の方々はどうやら『万川集海』に関して重要な論考が発表されたらしいとしか認識していなかったようなので、これで忍者研究が大きく前進したのは間違いないでしょう。
 上田哲也「探索書に見る萩藩の諜報活動」は、「忍者研究」誌によく載っている江戸時代の藩の忍びの研究ですが、こういうものこそ裏づけのある忍びの活動ですから、忍者好きを自認するなら必ず読んで欲しいです。大学院の私の授業では「忍者研究」の論文を輪読に使っています。
「忍者研究」もこれで4号誌までがレポジトリ登録されました。紙版は非会員はなかなか読めないので(バックナンバーは買えますが)、実質的に4冊が認知されるようになり、学会の認知度も上がっていくと思います。(吉丸記)