国際忍者研究センター

三重大学では、伊賀地域の発展のために、
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(学生通信)武田家の家訓と敵を知ること(院生 ペトロフ・キリル)

2023年06月02日

 武田家の家訓は99箇条を含めて、人間関係や武具の用意や戦法などを説いて、内容が幅広いです。先週、同家訓に見られる情報収集と武略としての嘘を説いている箇条を紹介しましたが、それに加えて、戦闘が起きる前に敵の性格を知ることについての一箇条も以下のように書かれています:

敵の性格を知る
軍勢の配備については、敵軍の性格、すなわち知敵(結局は和睦すべき敵)、破敵(完全に粉砕すべき敵)、随敵(破って従えるべき敵)をよく見分けてすることが大切である。『三略』にも、「敵性質によって戦法を変えてゆく」とある。
(吉田豊編訳『武士の家訓』(徳間書店、1972)、218頁)

 戦国時代と言えば、日本のあちらこちらで頻りに戦闘が多く起こることであって、勝負が戦闘の事前の全体的情報収集、その上、戦場に出る敵の性質と性格の知識によって決められたものであったと考えられます。武田家は優秀な戦国武家らしく、戦が始まる前に物見の役目を果たしている武士を配置して、その物見の活動を通して、敵軍の位置や、陣形、士気、兵站、敵将の考え方とやり方などを知っておくことを重視したと以上の一箇条でわかります。こうして敵軍の性質全般についての情報を得ることは、武田信玄の堂々とした勝利の重要な要素の一つとなっていたと言えるでしょう。(院生ペトロフ記)