国際忍者研究センター

三重大学では、伊賀地域の発展のために、
忍者の歴史や文化を研究し、その成果を発信しています。

ブログ

 

(学生通信)立花仙蔵と火器①(院生 仙空)

2020年06月25日

 こんにちは!仙空です!
 各地で梅雨入りしましたね。
 癖っ毛の方や女性はヘアセットに苦労する季節なので、梅雨よ早く明けてくれと祈っていることでしょう。
 私の大好きな忍たま乱太郎のキャラクター立花仙蔵も梅雨が早く終わることを望んでいたのではないかと妄想しています。

 仙蔵は忍術学園サラサラストレートヘアランキング第1位なので、髪の問題ではありません。彼の得意とする火器火薬と雨の相性が良くないからです。

 忍たま乱太郎は室町後期を想定して作られているようですが、当時使われていたのは硝石、木炭、硫黄からなる黒色火薬です。黒色火薬は湿気に弱く、ある程度湿気を含むと発火しなくなります。
 現行の火薬類取締法施行規則でも湿度対策として火薬類の置場には温湿度計を設置し、相対湿度を75%以下に保つことや、火薬庫の位置は湿地を避けること、地盤面からの湿気対策をとること等が求められています。
 火薬使いである仙蔵も火器火薬が水に濡れてしまわないことはもちろんのこと、湿度にも気を使っていたことでしょう。
 いざ火器を使おうという時に発火しないなんて悲しすぎますものね。

 けれども残念なことに、忍術学園1年は組の福富しんべヱ(よく鼻水を垂らしています)、山村喜三太(なめくじをペットとして飼い、大量のなめくじを持ち歩いています)という湿り気たっぷりの2人に慕われてしまいます。
 2人は憧れの先輩の役に立とうと気を回して色々なお手伝いをしようとするのですが、全て裏目に出て仙蔵を不利な状況に追い込んでいくのです。2人に悪気がないことを仙蔵も分かっているので、はじめのうちは怒りを抑えるのですが、散々な仕打ちに耐えられず、毎回最後には怒り爆発で焙烙火矢を投げまくって2人を追い回すというのがお約束のストーリーになっています。

 これは原作の落第忍者乱太郎にはない、アニメ忍たま乱太郎オリジナルストーリーです。
 第9期(2001年)から始まり、1期に1作のペースで制作されています。タイトルが「しめりけ厳禁の段」、「同行厳禁の段」と「〜厳禁」とつくことから、厳禁シリーズと呼ばれています。

 普段は冷静沈着な優等生の仙蔵がしんべヱ、喜三太と一緒に行動することで湿り気と無邪気さに負けてギャグキャラのようになってしまう、仙蔵の受難シリーズとも言えそうなシリーズです。
 けれど仙蔵が格好良く活躍する姿も必ず描かれていて、とても好きなシリーズなので、DVDで何回も見ています(厳禁シリーズだけを集めたDVDが発売されているのです!)。

 厳禁シリーズの話が長くなってしまいましたが、仙蔵が得意とする火器は忍者が恐れられた大きな要因と考えられています。また、忍者屋敷に様々なからくりが仕掛けられているのは当時の先端技術である火薬の調合についての情報を守るためではないかとも考えられています。
 火器は忍者にとって非常に大事な要素と言えるでしょう。踏み込んで勉強したい分野です。

 忍たま乱太郎には火器を得意とするキャラクターが仙蔵以外にも多く登場します。次回は火器キャラ達の武器や役割について書かせて頂こうと思います。
 暫く火器トークにお付き合いください!
 それでは!(院生 仙空記)