国際忍者研究センター

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(学生通信)映画レビュー㉕「ニンジャ・アサシン」<2009年、監督:ジェームズ・マクティーグ>(郷原匠)

2020年12月21日

 本日紹介する映画は、2009年に公開された「ニンジャ・アサシン」というアメリカ映画です。前回「シャドウ・アサシン」(2014年、監督:ロブ・バールド)という忍者映画をレビューしましたが、それとは全く異なります。監督のジェームズ・マクティーグ氏は、「マトリックス」三部作や「スター・ウォーズ」シリーズなどで、アシスタントディレクターとして活動された経歴をお持ちのようです。

 プライムビデオによる平均評価は、★5中、★3つ半と、なかなかの高評価でした。レビューの中には「アクションがすごい」「グロいが面白かった」「主人公がカッコいい」などの感想が大半で、目に余る酷評レビューはありませんでした。非常に喜ばしいことです。

 世界最強の暗殺者の一人である、雷蔵(ピ)は、幼少期に両親をなくし、最強の殺し屋を養成する秘密組織「小角」の一族によって育てられました。現当主である小角(ショー・コスギ)は雷蔵の才能を見抜き、次期当主に仕立て上げようとしていましたが、情け容赦のない一族の掟や、好意を抱いていたキリコ(カイリー・リヤ・ゴールドスタイン)を小角の手によって殺されたことで、雷蔵は組織に絶望感を感じるようになり、次第に小角に恨みを抱くようになります。そしてついに組織を脱走し、姿をくらまします。裏切り者の雷蔵を抹殺するため、小角は最強の刺客達を次々と雷蔵に送り込むのですが・・・。以上冒頭のストーリーを紹介しました。本作品には、海外の忍者ブームの火付け役となった、「燃えよNINJA」(1981年、監督:メナヘム・ゴーラン)において、悪役忍者役を演じたショー・コスギ氏が登場しています。この映画が上映された当時、ショー・コスギ氏は60歳を超えていらっしゃいますが、その迫力は「燃えよNINJA」の時と全く変わっておりません。

 ちなみに今回の映画ですが、驚くことにR18指定となっているため、閲覧の際には最大限の注意が必要です。この映画はアクション映画というよりも、むしろスプラッター映画でありまして、戦闘シーンにおいて、終始大量の血が噴き出し、胴体切断シーンなどは当たり前といった状態になっています。グロ耐性のない方にとっては気分を害すおそれがありますので、どうぞお気をつけ下さい。

 しかしグロ要素を除けば、単純に戦闘シーンは面白いです。超人的な動きをする忍者がたくさん登場するので、非常に躍動感あふれる戦闘シーンに仕上がっています。また映画の途中、主人公の雷蔵が上半身裸で敵忍者と戦うシーンがあるのですが、これがまた「燃えよドラゴン」(1973年、監督:ロバート・クローズ)の主演俳優、ブルース・リーを彷彿とさせるため、カンフー映画ファンにとってはたまらない演出となっています。血がドバドバ出なければ万人に愛される映画になりそうな予感がします。

 ストーリー設定についてはいろいろと謎の部分もありましたが、正直なところ、アクションシーンが超一級品だったため、あまり気になりませんでした。やはり忍者映画の神髄は、アクションシーンにあるのでしょう。もし忍者映画を作るのであれば、脚本がポンコツだったとしても、アクションシーンが素晴らしければ、全然問題ないような気がしてきました。

 以上で今回のレビューを終わります。次回は「レゴ ニンジャゴー ザ・ムービー」(2017年、監督:チャーリー・ビーン他)をレビューしたいと思います! (院生 郷原記)